留置係の署員は足りているのか?

大阪の警察署で,留置中の被疑者が脱走するという事件が起きました。弁護士が接見した直後の脱走というから,同じ弁護士業をしている私には他人事ではありません。

多摩オリエンタル法律事務所では,年間に数件,刑事弁護事件を手掛けます。そして,被疑者と接見しようとすると,警察でよく言われることがあります。「留置係に人が誰もいないので,(接見の)受付ができません。」と。
「今,別の弁護士が接見中なので,接見できません。」と言われることもあります。接見室が1部屋しかないのであれば,「仕方ないですね。」と納得もできますが,接見室が数部屋あって,使っていない部屋もあるのに,このように言われると,少し複雑な気分になります。
署内で事故が起きないようにするために,被疑者が接見中のときに署員を張り付かせ,その係の手が離せないときに「接見できません。」と言われることに,理解ができないではありません。しかし,逮捕して身体拘束をするというのは,明らかに重大な人権制限ですから,その救済措置としての接見交通権は広く認められるべきです。それなのに,留置係の人手が足りなくて,被疑者が弁護士と接見できないというのは,少し不当な感じがします。
これまで,接見が終わったときに,そのことを留置係に告げようとしても,受付に留置係が誰もいないということが度々ありました。このような人員不足の態勢では,今回のような脱走事件はまた増えると思います。今回の脱走事件を受けて,おそらく,弁護士接見時のセキュリティを強化しようという議論が出てくるでしょう。しかしそれは,弁護士接見の手続きを制限する方向性ではなく,留置係を増員する方向性で対応してもらいたいものです。

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