慰謝料の額


 慰謝料はいくらぐらいとれますか?弁護士として,これほど答えにくい質問はありません。例えばこれが,人を怪我させたような事案であれば,後遺症の程度,通院日数,入院日数で,おおよその金額は算出できます。

慰謝料を算出する基準があるからです。しかし,慰謝料の明確な基準があるのはこれぐらいで,その他の分野は,直感で判断せざるを得ません。長年弁護士をやっていると,何となくの相場感が出来上がってきますが,明確な基準がないところで,その額に絶対的な自信を持てるはずもありません。自然と,相談者に回答する慰謝料額は,低額なものになっていきます。
 日本の裁判は,あまり高額な慰謝料を認めたがらないと言われています。思うに,裁判官も,われわれ弁護士と似たような感覚をもっているのではないでしょうか。離婚や名誉棄損など,性質上,いくらかの慰謝料が発生する事案というものはあります。しかし,その具体的な金額を決める基準がないのですから,「慰謝料は●●円」と明確に断言することができず,「少なくとも●●円」という最小限の判断とならざるを得ないです。
 ですから,日本の裁判では,慰謝料で請求金額を釣り上げていくという交渉の仕方は,あまり効率的なやり方ではないと思います。損害賠償請求で,慰謝料ぐらいしか認められそうなものがないという場合,被害者が満足いく結果になることは,あまりなさそうです。

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