法律問題Q&A 離婚・相続・成年後見編

家事事件も多摩オリエンタル法律事務所の取り扱いが多い分野です。最近,多摩市の法律事務所という土地柄か,相続や成年後見の相談も増えてきました。

▼Q&A一覧

Q1 私は離婚できますか?
Q2 夫が勝手に家出してしまい,生活費も払ってくれません。どうしたら良いですか?
Q3 元妻が子供の親権をとって離婚しましたが,その後,父親である私と子どもを会わせないと言っています。どうしたら良いですか?
Q4 父親が,3000万円の銀行預金と不動産を残して死亡しました。相続人は,母親と私と私の兄と妹です。遺言書はありません。これから,どのような手続きをすればよろしいですか?
Q5 そろそろ遺言書を書きたいと思っています。どのようにして遺言書を作成すれば良いですか?
Q6 父親と同居している兄が,父親が重度の認知症であることをいいことに,父親の財産を使い込んでいるようです。どうしたら良いですか?
Q7 自分が認知症になったとき,誰か信頼できる人に私の財産管理を委ねたいです。どうすれば良いですか?

Q1 私は離婚できますか?

 離婚の訴えを提起した場合,①不貞行為,②悪意の遺棄,③3年間の生死不明,④強度の精神病,⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由のいずれかがなければ,離婚を命じる判決はでません。離婚相談時に,離婚を求める理由を聞くと,「性格の不一致」や,「パワハラ」といった申し出をする方が多いですが,これらは簡単には離婚原因とはならないものとお考えください。
 しかしながら,夫婦関係は,離婚原因がないから維持されるというのではなく,夫婦お互いに信頼し合っているので維持されるものです。ですから,目立った離婚原因がないような場合でも,離婚を求めれば離婚できてしまうケースは相当多いです。
 ただし,離婚原因なく離婚を求める場合は,離婚財産分与の段階で,相手方に交渉材料を与えてしまうことになりますので,ご注意ください。
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Q2 夫が勝手に家出してしまい,生活費も払ってくれません。どうしたら良いですか?

 婚姻費用の分担請求をします。請求できる婚姻費用の額は,夫婦双方の収入や子の養育の有無で,比較的形式的に定められます。婚姻費用は,月額○○円といった具合に定められます。
 相手方が婚姻費用の分担に応じない場合は,これを求める調停・審判を申し立てます。婚姻費用に関する調停や審判があると,これをもとに相手方の財産に対する強制執行が可能となります。ただし,その強制執行ができる婚姻費用は,調停を申し立てた月から発生するとされております。ですから,相手方が婚姻費用を支払おうとしない場合,できるだけ早く,これを請求する調停・審判を申し立てるべきです。
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Q3 元妻が子供の親権をとって離婚しましたが,その後,父親である私と子どもを会わせないと言っています。どうしたら良いですか?

 多感な子どもをまきこむ話ですから,極力,話合いによる解決を図るべきです。それでも元妻が話合いに応じないのであれば,元妻を相手に,面会交流を求める調停の申立をします。
 親子の面会交流は,特段の事情がない限り,最低でも月1回程度は認められる方向性です。それでも相手方は,簡単に子供と会わせようとしないかもしれません。そのような場合は,家庭裁判所の調査官が子供の家庭環境等について調査をすることがあります。
 子供と会えない時間が長くなれば長くなるほど,父親子の家族関係が希薄になっていきますので,この申立はできるだけ早く行うべきです。
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Q4 父親が,3000万円の銀行預金と不動産を残して死亡しました。相続人は,母親と私と私の兄と妹です。遺言書はありません。これから,どのような手続きをすればよろしいですか?

 まずは,相続人間でよく話し合い,遺産分割協議書を作成してください。話合いができない場合は,家庭裁判所に,遺産分割調停を申し立てることになります。
 相続人の中に,被相続人(この場合は父親)から特別な生前贈与を受けた者がいる場合は,相続財産の前渡しがあったものとして,これが特別受益とされる可能性があります。この場合,生前贈与分をみなし相続財産とし,この相続人は相続財産の一部をすでに受領しているものとして遺産分割するべきことになります。
 逆に,被相続人に相当額の資金援助をしたような相続人がいる場合は寄与分の問題となります。寄与分として認められた額を控除した額を船体の相続財産として各相続人の相続分を算定し,被相続人に資金援助した者は,寄与分の額だけその相続分が加算されます。
 調停では,このような法律関係を前提に手続きが進みますが,それでも話合いがまとまらなかったときは,家庭裁判所が審判を出します。
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Q5 そろそろ遺言書を書きたいと思っています。どのようにして遺言書を作成すれば良いですか?

 遺言には,その全文および日付氏名をすべて自書する自筆証書遺言,公正証書によって遺言を作成する公正証書遺言などがあります。
 遺言では,自分の財産を,自分の死後,誰に,どのように分配するか決めることができます。ただし,一部の相続人に不公平が生じるような遺言をしてしまうと,遺留分の問題が生じて,かえって相続争いを生じさせる結果にもなってしまうので,注意が必要です。
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Q6 父親と同居している兄が,父親が重度の認知症であることをいいことに,父親の財産を使い込んでいるようです。どうしたら良いですか?

 お父様について,家庭裁判所に成年後見開始審判申立をしてみてはいかがでしょうか。重度の認知症ということであれば,お父様について成年後見開始の審判がでると思われます。認知症の程度が成年後見相当(精神上の障害により事理を弁識する能力に欠く常況)とまでいかないにしても,保佐(精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分)や補助(精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分)に該当することでしょう。
 成年後見が始まった場合,家庭裁判所が成年後見人を選任します。以後,お父様の財産は成年後見人が管理することになり,お兄様がお父様の財産を使い込むことは防げます。
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Q7 自分が認知症になったとき,誰か信頼できる人に私の財産管理を委ねたいです。どうすれば良いですか?

 信頼できる人を見つけて,任意後見契約を行うべきです。任意後見契約をすると,例えば自分が認知症になったときに,自分の生活,療養看護,財産管理に関する事務を,その契約の相手方,すなわち任意後見人に委ねることができます。
 任意後見契約に際しては公正証書を作成しなくてはなりません。また,契約をしたら,ただちに後見が開始するというものではありません。本人が認知症になった等の段階で,任意後見受任者が家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申立てる必要があります。
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