「これをやっていいですか?」
弁護士にこのような質問をしてくる相談者が多いです。このような質問を受けた弁護士は,それを「やってもかまわないだろう」とは思いつつ,よっぽど簡単な問題でない限り,「やって良いとは言えません」と回答するのではないでしょうか。
それが多くの場合は「やってもかまわない」と思われるにしても,状況によっては「やってはいけない」場合もあるものです。これからの状況を詳細に予測するなども困難ですので,「この場合は適法」,「この場合は違法」などと緻密に説明できるものでもありません。したがって,こうした質問については「それは状況によります」と曖昧な回答ですます弁護士も多いかと思います。
また,「誰も文句は言わない」だろうけれども,厳密に法的に考えれば「違法」という問題もあります。よくあるのは,「借主が夜逃げしてしまった。貸していた部屋に残された物を処分してよいか?」という質問です。権利者の借主が夜逃げしてしまっているので,これをしても「誰も文句は言わない」の典型例です。けれども,貸した本人に無断で部屋の残置物を貸主を処分することは,明らかに違法です。ですから,このような質問をされてしまうと,弁護士は口が裂けても「やってよい」とは回答できないのです。
自分ならば「やっていいですか?」と聞かれたら,「それをやったらどうなるか」を回答し,その上で「やるかどうか」は相談者ご本人に決めていただきます。それが違法か適法かはなかなか判断が難しいとしても,仮に違法だとした場合に,相手は何ができるようになるのか,こちらは比較的容易に判断できるものです。相手方からどれくらい損害賠償請求を受ける可能性があるのか,刑事事件にされるリスクはどれだけ高いのか,こういったことを弁護士としての経験則に基づき回答させていただいております。弁護士は,「それをやって良い」などのお墨付きは出せませんが,質問の仕方を代えれば回答できることもありますので,法律相談の際に工夫してみてはいかがでしょうか。
~多摩オリエンタル法律事務所~
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