見失った自分を取り戻してみませんか?

 うまくいっている人は,多摩オリエンタル法律事務所のような,地域の弁護士事務所にはまず来ません。弁護士に相談するべきことがないからです。法律事務所に来る人は,“やられた人”,“やりたい人”,“やられそうな人”,“やってしまった人”,こんなところでしょうか。 “見失った自分を取り戻してみませんか?” の続きを読む

NHKの昔話裁判(カチカチ山)について

 弁護士をしていると,法曹とそうでない人との感覚の違いを実感させられることが多々あります。NHKで,昔話裁判という番組があります。例えば,そのカチカチ山で,タヌキに対する殺人未遂(?)で起訴されたウサギを擁護するネット上の声が多いようです。しかし,法曹の感覚では,ウサギに執行猶予判決が妥当と考える人は,むしろ少数なのではないでしょうか。   “NHKの昔話裁判(カチカチ山)について” の続きを読む

私,失敗しないので―私,負けないので?

先日,とある医師が書いたコラムが興味深かったので紹介します。最近医療ドラマで有名になった決めゼリフ「私,失敗しないので」というのは,あり得ないというのです。失敗したことがない医者がいるとしたら,それは経験不足の医者だろうということでした。 “私,失敗しないので―私,負けないので?” の続きを読む

認知症訴訟の最高裁判決を読んで反省したこと

女神テミスの像と聞いて,イメージできますか。ギリシャ風の彫刻で,片手に天秤,右手に剣を持っている女神の像といえば,分かるでしょうか。天秤は,正義か悪かを判断する道具であり,裁判を意味するのでしょう。剣は,まさに権力そのもので,強制執行や刑の執行などを意味します。
 
女神テミスの像は,もう一つ,特徴があります。それは,多くが目隠しをしていることです。目隠しは,女神が天秤を用いて善悪を図る際,目の前の人を見ないこと,公正に裁判することの象徴です。ですから,この像は,最高裁判所などの司法関係者により,好んで設置されます。
 しかし私は,この目隠しして裁判することに違和感があります。それは,目隠しをして,本当に真実を見ることができるのか,という疑問です。
 
先日,最高裁判所で,認知症の夫が起こした鉄道事故につき,その妻も子供も,損害賠償責任を負わないとの判断が出ました。大きなニュースとして取り上げられたので,詳細は省きますが,驚くべきは,地裁は妻と子供に,高裁は妻に,その損害賠償責任があるとの判断をしたことです。この下級審裁判所の判断は,老老介護問題に対する意識が低いとして,世間から大きく批判されたところでした。
 この事件で問題になったのは,「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は,その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」とした民法714条の解釈でした。そして,夫婦には同居扶助義務があって(民法752条),法曹であれば,認知症の夫が起こした鉄道事故につき,妻は損害賠償をしなければならないとの解釈をしたくなります。
 
しかし,本件では,被告とされた妻も80歳を超える高齢で,要介護認定も受けていて,とても夫を介護できるような状態ではありませんでした。下級審裁判所は,判決文を書くにあたり,法を公正に適用しようと意識し過ぎたために,これらの現実を“目隠し”して見ようとしなかったのではないでしょうか。
 
私が思うに,裁判所で適用される法律は,単に国会で成立したものに過ぎず,それだけでは,正義にも悪にもなりません。法律は,裁判所が判決を書くための基準に過ぎず,それ以上でもそれ以下でもありません。ですから,事実に法律を公正に適用した結果は,正義にも悪にもなります。

 もっとも,幸いなことに,法律はいかようにも解釈できます。法律を適用した結果,悪になるのであれば,その解釈は“間違っています”。そこで,法律の解釈を工夫して,正義の結論を導く,それが法曹のあるべき姿なのではないでしょうか。

 裁判所だけでなく,弁護士も,法律相談を受けたとき,「正義は何か。」ではなく,「判決はどうなるか。」を考えがちです。もちろん,判決の見込を正確に予測することは重要です。依頼人から情を訴えられると,この予測を誤ることがあるので,あえて“目隠し”して,法律の解釈をすることはよくあります。
 
しかし,“目隠し”をしてしまうと現実を見なくなり,正義が見えなくなり,判決の予測はできても,正義を実現できません。
 
法曹関係者の皆さん,そろそろ“目隠し”を,外してみませんか。

→ お知らせトップへ

判決を取りに行くのは他に手段がない場合ー孫子の考え方から

凡用兵之法,全国爲上,破国次之。
最古の兵法書といわれる孫子を引用してみました。およそ最高の兵法とは,国と戦わずに勝つのが上策で,国と戦って勝つことはこれに劣る,という意味です。弁護士が事件処理をしているとき,常に考えさせられる言葉です。 “判決を取りに行くのは他に手段がない場合ー孫子の考え方から” の続きを読む

司法取引について

捜査と公判の見直しに向けた刑事司法改革の最終案が,法制審議会で決まったそうです。
その中で,司法取引の導入が盛り込まれているのが気になるところです。予定されている制度は,検察官が被疑者などに起訴しないなどの見返りを与えて他人の犯罪を供述・証言をさせるというもので,経済事件や銃器・薬物事件が対象とのことです。 “司法取引について” の続きを読む

裁判よりも示談が優れている

多摩オリエンタル法律事務所は,このほど,訴訟よりも示談による解決を重視する方針をとることにしました。もちろん,示談交渉よりも訴訟による解決が優れている事例があることは否めません。しかしながら,多くの事例では,裁判官から判決を得るよりも,示談で解決するほうが優れていると思われます。以下,理由を述べます。

“裁判よりも示談が優れている” の続きを読む