そこは話合いではなく裁判をした方が良いかもしれません

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_3651-rotated.jpg裁判をするときは,誰もが緊張するものです。訴訟をすれば必ず勝訴するという事件でも,裁判をすれば誰かが傷つくと思うと,なかなかその決断ができないものです。それでは弁護士を立てて示談交渉を始めれば解決できるかといえば,そのような保障はまったくありません。弁護士が示談交渉を始めるときは,相手方が示談に応じなかった場合の次の手順を考えているものです。相手方に示談交渉に応じない場合の不利益を教えてやって,それぐらいならば話合いをした方が利益であると思わせて,相手方を話合いのテーブルに呼び出すのです。ここで,依頼人から,裁判は避けてやってほしいと言われると,相手方に示談交渉に応じない場合の不利益,すなわち依頼人が裁判を辞さない意向であると伝えることができません。したがって,依頼人が裁判を避けるようでは,できる話合いもできなくなってしまうという事態に陥りやすいです。そこで,少なくとも,次のような場合は裁判をすることを躊躇するべきではないと思います。

一つ目は,弁護士が手紙を送っても,相手方がまったく返事をよこさない場合です。これは,相手方が話合いに応じる意思が無いということですから,裁判を起こして相手方を裁判所に呼び出さない限り,話を先に進めることができません。
 二つ目は,相手方がまったく譲歩しようとせず,依頼人も相手方の提案を受け入れることができないという場合です。相手方がまったく譲歩しようとしないのは,弁護士の説明では相手方が譲歩しなければならない理由が分からない,あるいは理解しようとしないということを意味します。したがって,このような場合は,裁判所という第三者を通じて相手方に物事を説明する必要があります。
 三つ目は,当事者が多数に及んでいて,それぞれが好き勝手なことを言って,その調整が難しいという場合です。いかに弁護士といえども,複数の人と一度に話合いをするというのは困難です。それぞれと連絡をとって,それぞれから意見を聞いて,それぞれ順番に提案していくのです。ここで,当事者が多数いると,全員順番に話を聞いているうちに,最初に話を聞いた一人の意見が変わってしまうということがあります。そこで,当事者が多数に及んでいるときは,あらかじめ調停などの話合いの場があることを説明し,その申立てをすることを伝えた方が,話が,早く,かつ,円満に進むことがあります。
このほかにも,話合いよりも裁判をした方が良い場合はいくつか考えられると思います。経験ある弁護ならば,それが話合いで解決するべき事案なのか,あるいは訴訟や調停をするべき事案なのか,その選別ができるものです。もしも裁判をするべきかどうか迷われたときは,遠慮せずに弁護士に相談した方が良いと思います。

~多摩オリエンタル法律事務所~

多摩センター駅徒歩3分。夜間・休日も対応いたします。債務整理のご相談は無料です。多摩市、稲城市の方からのご相談が多い事務所です。債務整理・離婚・相続・後見等の個人事件や、売掛金回収・倒産等の法人事件の実績多数あります。

議論が苦手な人のための交渉術

 

相手と議論して「勝つ」ことは,それなりの技術があれば難しいことではないかもしれません。その方法は,①できるだけ大きな声で話す,場合によっては相手を威嚇する,②立場の違いを利用する,あるいは味方を多く立ち会わせる,③こちらは結論だけを話す,相手方が反論しようとしたら発言させない――こんなところでしょうか。こうすると,相手はこちらの言い分に何も反論しなかった事実だけが残り,相手が何かを言ってきたとしても「論破」したことになります。

 けれども,このような形で相手を「論破」できても,それで相手を「説得」することは難しいでしょう。「論破」とは,あくまでも相手が反論しなくなった状態にすぎず,相手がそれで「納得」しているとは限らないからです。相手が「納得」しなければ,それは「説得」したことにならないのです。

 裁判では,そのとき相手を「論破」したという事実は何の意味もありません。そこで意味を持つのは,その結果,「何」が「合意」されたかです。「納得」がないところに「合意」はないので,無理な「論破」で「合意」させられたとすれば,せっかく獲得できた「合意」が無効となる可能性もあるので,無理な「論破」が有害となることもあります。昨今,「論破」を格好良いと見る風もありますが,こういうわけで私は「論破」それ自体に何の価値も見出せません。

 それでは,相手が議論を求めてきたらどうすれば良いでしょうか。まず,相手が議論に値する人物かどうか,見極めてください。弁護士は,最初は相手に手紙を出して,その反論を待ち,対等な議論となる可能性を見つけてから,相手と交渉するものです。対等の議論ができるような信頼関係がないのであれば,議論に応じないでください。議論に応じる義務は誰にもないのです。下手に議論に応じて,ムチャな合意をさせられるぐらいであれば,元から議論に応じない方が良いのです。

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相撲界はどうしたいの?

多摩の弁護士で,刑事事件の示談交渉を相談されたことがない者はほとんどいないと思います。刑事事件の示談交渉の相談は,ほとんど加害者側からですが,被害者からの相談もたまにあります。
日馬富士の暴行事件の第一報を聞いて,私は,示談がすぐにまとまるのではないかと思いました。これまで多数の示談交渉を手掛けた経験からすると,仲間内の暴行事件で,加害者側も被害者側も相当な地位がある人で,事件を大ごとにすることはないだろうと,思ったからです。 “相撲界はどうしたいの?” の続きを読む