裁判をするときは,誰もが緊張するものです。訴訟をすれば必ず勝訴するという事件でも,裁判をすれば誰かが傷つくと思うと,なかなかその決断ができないものです。それでは弁護士を立てて示談交渉を始めれば解決できるかといえば,そのような保障はまったくありません。弁護士が示談交渉を始めるときは,相手方が示談に応じなかった場合の次の手順を考えているものです。相手方に示談交渉に応じない場合の不利益を教えてやって,それぐらいならば話合いをした方が利益であると思わせて,相手方を話合いのテーブルに呼び出すのです。ここで,依頼人から,裁判は避けてやってほしいと言われると,相手方に示談交渉に応じない場合の不利益,すなわち依頼人が裁判を辞さない意向であると伝えることができません。したがって,依頼人が裁判を避けるようでは,できる話合いもできなくなってしまうという事態に陥りやすいです。そこで,少なくとも,次のような場合は裁判をすることを躊躇するべきではないと思います。
一つ目は,弁護士が手紙を送っても,相手方がまったく返事をよこさない場合です。これは,相手方が話合いに応じる意思が無いということですから,裁判を起こして相手方を裁判所に呼び出さない限り,話を先に進めることができません。
二つ目は,相手方がまったく譲歩しようとせず,依頼人も相手方の提案を受け入れることができないという場合です。相手方がまったく譲歩しようとしないのは,弁護士の説明では相手方が譲歩しなければならない理由が分からない,あるいは理解しようとしないということを意味します。したがって,このような場合は,裁判所という第三者を通じて相手方に物事を説明する必要があります。
三つ目は,当事者が多数に及んでいて,それぞれが好き勝手なことを言って,その調整が難しいという場合です。いかに弁護士といえども,複数の人と一度に話合いをするというのは困難です。それぞれと連絡をとって,それぞれから意見を聞いて,それぞれ順番に提案していくのです。ここで,当事者が多数いると,全員順番に話を聞いているうちに,最初に話を聞いた一人の意見が変わってしまうということがあります。そこで,当事者が多数に及んでいるときは,あらかじめ調停などの話合いの場があることを説明し,その申立てをすることを伝えた方が,話が,早く,かつ,円満に進むことがあります。
このほかにも,話合いよりも裁判をした方が良い場合はいくつか考えられると思います。経験ある弁護ならば,それが話合いで解決するべき事案なのか,あるいは訴訟や調停をするべき事案なのか,その選別ができるものです。もしも裁判をするべきかどうか迷われたときは,遠慮せずに弁護士に相談した方が良いと思います。
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