ここのところ,立て続けに遺産分割の相談を受任することがあり,依頼人から委任状をもって遺産分割協議書とおりの銀行預金口座の処理作業をすることが多かったです。そこで,いつも思うことは「銀行から求められる資料の数が多すぎる!」ということです。膨大な戸籍や相続人全員の印鑑登録証明書がなければ口座解約の処理などに応じてもらえず,最近になって始まった窓口縮小の影響で予約がなかなか取りにくく,少しでも事案が複雑になるとそれだけで「手続に必要です」と言われてさらに資料の提出を求められる。このため,相続人間で遺産分割協議がまとまっても,その通りの分配をするのに2,3か月の期間を要することも珍しくありません。
そこで自分は,取引銀行が多数あるなど遺産の内容が少しでも複雑であるような場合は,相続人間に争いがないときでも,裁判所に遺産分割調停を申立て,その調停調書を作成してもらうのがもっとも簡単なのではないかと思うようになりました。裁判所が作成した遺産分割調停調書さえあれば,ほとんどの銀行がこれだけで手続を進めてくれます。おそらくは,銀行は,裁判所のような公的機関が関与しない遺産分割協議書というものの効力を,あまり信じていないのでしょう。それゆえ,これでもかというぐらい利用者に書類を用意させて,その有効性を厳格に確認したいのだと思います。これに対して遺産分割調停は,裁判所が作成したものなので,よもやそれが無効ということもないだろうという信頼があるのだと思います。
それでは,遺産分割調停を申し立てるのがどれだけ大変かといえば,意外とそうでも無いのです。まず,裁判所では,銀行が求めてくるような本人確認書類は求められません。実印や印鑑登録証明書の持参は必要なく,場合によっては認印すら不要です。事前に誰か代表者を決めて,そのような遺産分割調停を成立させてほしいとの前裁きをしておけば,代表者でない者は調停に出頭する必要すら無いでしょう。その代表者自身も,弁護士に依頼をすれば,弁護士が裁判所に出頭してくれるので自分が出頭する必要すらありません。費用もそれほどの金額が発生するものではないです。こういうわけで,相続人間の意見がまとまっているような場合でも,遺産の内容が多岐にわたるようなときは,むしろ調停で処理してしまった方が労力が少なくて済むのではないかと思われるのです。
もっとも,極めて単純明快な相続案件など,あえて調停を申立てるまでも無いという事案もありましょう。相続人が多数いる,あるいは遺産が多岐に及んでいるような場合はもちろん,そうでない場合も,一度,多摩オリエンタル法律事務所の意見を聞いてみてはいかがでしょうか。
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