離婚後に父と母の双方が子どもの親権を持つ共同親権を導入する改正民法が先月,成立しました。改正法は,2026年までに施行とされます。国内では,大きく批判されることもあった共同親権制度ですが,多摩オリエンタル法律事務所では,共同親権制度の導入に賛成です。その理由は簡単で,夫婦が離婚する背景には様々なものがあり,それぞれの事情に応じた解決を実現するためには,その解決の手段も多い方が良いと考えるからです。共同親権制度ではうまくいかないケースも,もちろんあります。けれども,共同親権とした方が合理的とみられたケースも多々あったのです。
共同親権制度に反対する論者は,例えば相手方にDVがあったときに,離婚後も子どもを介して,監護親がDVにさらされることになると不安視しているようです。しかし,そのような場合は,家庭裁判所で単独親権が認められる可能性が高いとみますので,反対論者の心配は杞憂と考えます。
逆に,従来は,単独親権制度では不都合なケースが相当数ありました。例えば,配偶者の一方が,正当な理由もなく(不倫の末の場合もある),幼い子を連れ去ってしまったような場合です。家庭内で,決して理想の子育てができていたとは言い難いようなケースでも,その人が専業で子育てをしていたのであれば,裁判所がその相手方を監護権者と認定することは稀でした。こうなると,連れ去られた子は,非倫理的な親の単独親権の下で養育されることになり,果たしてそれが子の福祉にとって最善手と言えるのか,疑問なケースもあるのです。
多摩オリエンタル法律事務所では,共同親権制度の導入がもっとも効果的に機能する場面は,離婚した監護親が他人と婚姻するケースではないかと考えております。この場合,子どもを結婚相手と養子縁組させるケースが多いのですが,共同親権制度の下では,15歳未満の子どもを養子縁組させるためには非監護親の共同親権者の承諾も必要となります。そこで,共同親権制度の下では,養子縁組によって,非監護親との親子断絶が図られる悲劇を避けることができると考えられるのです。なお,ここで共同親権者の承諾を得ることが不適切と考えられるような場合は,家庭裁判所に申し立てることにより,他方の親権者の単独の判断で養子縁組ができるとされています。
そこで,今後,共同親権制度を迎えるにあたっては,次のようなことに注意をしておけばよいのではないかと予想します。まず,単独親権とする場合は,なぜ単独親権とするに至ったのか,証拠を残しておくことが有効でしょう。そうでないと,後に相手方から共同親権とするべきとの要求を受けて,解決したはずの離婚問題を蒸し返されるおそれがあります。一方,共同親権となった場合は,相手方に対して節度をもって,しっかりと子育てに関わっていくことが必要でしょう。多摩オリエンタル法律事務所で受けてきた事例の中では,非監護親の子どもに対する熱意が冷めていたり,逆に非監護親の子どもに対する熱意が異常になっていたりするケースの両方がございます。そのような場合には,監護親である離婚相手から,共同親権の制限を申し立てられても仕方ないでしょう。
今後,子どもに対する親権のあり方は,大いに議論されるところでしょう。多摩オリエンタル法律事務所では,今後の制度運用を注意深く観察していきますので,ご不安な方は,ぜひ,ご相談ください。
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