民事執行法の改正について

裁判で勝っても,相手がどこにどのような財産をもっているか分からないでは,強制執行のしようがありません。ところが,相手がどのような財産をもっているかは,なかなか他人に分かるものではありません。そこで民事執行法は,財産開示手続の制度を規定しています。

 財産開示手続きは,相手方を裁判所に呼び出し,自分にどのような財産があるのか,申告させる制度です。呼出を受けた相手方は,裁判所に出頭する義務があり,出頭しない場合は過料という刑罰も科せられます。もっとも,相手方の出頭を求める財産開示手続きは,同時に,債権者が強制執行の準備をしていることを知らせることになり,財産隠しを誘発する危険があります。また,出頭しない場合のペナルティが過料程度では,大きな強制力もないという見方もできます。
 そこで,この財産開示手続きを拡充する大きな法改正がありました。一定の要件の下,相手方を裁判所に呼び出す方式だけでなく,法務局や金融機関などに問い合わせて,その財産を開示させる第三者からの情報取得手続きが規定されました。この方法も,銀行等から口座情報の提供があったときは,裁判所から債務者にその旨の通知がいくとのことですから,財産隠しの危険はないとはいえません。ただし,その危険は,債権者の側で手続きを迅速に行えば,ある程度防げるかもしれません。また,財産開示手続き不出頭の場合のペナルティは,過料から,6ヵ月以内の懲役または50万円以下の罰金にまで引き上げられました。
 この制度が,今後,どのように運用されていくかは不透明ですが,ご相談があれば積極的に利用していきたいと思っています。施行は,4月1日からです。詳しくは,当事務所まで,ご相談ください。

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