世の中は本当に人手不足か?

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_0953.jpg報道によれば「人手不足」などを背景に初任給の引き上げが相次いでいるのだそうです。債務整理の相談などで「給料が低い」,「仕事が決まらない」などと言われると,果たして「人手不足」というのは本当なのか,疑いたくなります。
そこで独立行政法人労働政策研究・研修機構が調査している有効求人倍率(労働者1人あたりの求人数)をみると,どうも昨年(2024年)は,だいたい「1.25」前後で推移しているようです。求人倍率は,「1」を超えれば「売り手市場(労働者有利)」,「1」を下回れば「買い手市場(雇い主側が有利)」になるとも言われています。このような基準で考えれば,確かに世の中は「人手不足」と評価できるかもしれません。
けれども私は,このような求人倍率の読み方には落とし穴があると考えます。なぜか。有効求人倍率は,あくまで統計上の割り算に過ぎません。現在,数で言えば求人の方が多いかもしれません。けれども,その中に自分に合う仕事がどれくらいあるか,希望の仕事がどれくらいあるかと考えてみれば,果たして「1.25」という求人倍率は「売り手市場(労働者有利)」と言えるでしょうか。私は,むしろ,これでは労働者は仕事を選べる状況にないと思います。失業率はそれほど高い水準にないようですが,それは,労働者が仕事を選ばず,とにかく雇ってくれたところに就業しているからではないかと見ます。
その証拠に,例えば銀行の窓口は,以前に比べて,明らかに人が減っています。これは,世の中の「人手不足」の結果ではなく,会社側が経営を合理化し,人を減らした結果ではないでしょうか。つまり,「人手不足」とは,会社側が人を雇わない結果であって,それは決して「求人の応募が少ない」ということを意味していないのではないかと思うのです。
そのような状況を「人手不足」の一言で片づけている報道の姿勢に疑問を持ったので,今回,投稿させていただきました。多摩オリエンタル法律事務所では,労働問題も取り扱っております。 お気軽にご相談ください。

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