成人の日に,ある振袖レンタル会社に関し,着物の着付けを依頼したのに着物が届かないなどのトラブルがニュースで報じられました。この会社に依頼してしまった人は,本当にお気の毒です。一方のニュースで,この会社は倒産状態にあるのではないか,との憶測も流れています。
成人式の日に,受けていた注文どおりに振袖を用意できなかったのは,やむを得ないことだったかもしれません。前払いで受け取っていた代金も返金できない状況だったのでしょう。しかし,倒産を手掛ける弁護士の目からすれば,もう少し穏当なやり方はなかったのでしょうか。夜逃げみたいなやり方で事業を閉鎖し,何の説明もしないで現場に大混乱をもたらしてしまったというのは,残念で仕方ありません。 この手の会社の倒産ですと,倒産するにも弁護士費用や裁判所へ納める予納金などで,数百万円の費用が必要になります。その数百万円があったら,迷惑をかけたくない人にお金を払うことができる,だから倒産に踏み切れない―このあたりが,経営破綻している会社の社長の本音ではないでしょうか。人として,その気持ちは分からないではありません。しかし,大抵の場合,「迷惑をかけたくない人」は,「本当に迷惑をかけてはいけない人」ではありません。そして,本当に迷惑なのは,金を払わないことではなく,金を払えないことについて何の説明もなされないことです。
今般の振袖レンタル会社は,昨年のうちに経営破綻していることを顧客に知らせるべきでした。もちろん,そのような説明をしても,ある程度の混乱は免れませんが,倒産に手慣れた弁護士に依頼しておけば,今般のニュースほどの大混乱にはならなかったでしょう。この会社は,手慣れた弁護士に相談することができなかった(または,それでも決断できなかった)のだと思います。
会社経営が破綻したら,まずは弁護士に相談しましょう。弁護士ならば,その適切なやり方をアドバイスできます。逆に,一人で抱え込んでしまうと,かえって周囲に大混乱を与えてしまいます。それが,今回のニュースから得られる教訓ではないでしょうか。
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