破産事件は,通常,介入通知発送→債権・資産調査→破産申立てという流れで進行します。特段問題がなければ,介入通知発送から1,2ヵ月で破産申立てまで完了します。ところが,会社を破産させる場合,関係者が多数いて,事案毎に違った問題を抱えているため,通常の進行を一口で説明することはできません。そこで今回は,会社をたたむときの課題を,いくつかのパターンに分けて,簡単に説明したいと思います。
パターン① 営業中の会社を倒産させる(通常)
債権者に介入通知を発送し,支払いを停止するとともに,会社の資産を預かり,従業員を解雇し,リース物件を引揚げさせ,賃貸物件であれば事業所を明け渡します。これらの作業は,破産申立後に破産管財人が行う場合もありますが,それはケースbyケースです。
パターン② 強硬な債権者がいる
速やかに債権者に介入通知を発送し,弁護士を通さないで債務者と直接面会することがないよう申し入れます。他方で,できるだけ速やかに破産申立てをします。現場を裁判所(破産管財人)の管理に置くことで,違法な取立てができないようにします。
パターン③ 会社を乗っ取られた
破産という方針が決まっているのであれば,速やかに破産を申し立てます。できるだけ早く,乗っ取った相手から会社の支配を奪い,会社財産が外に逸出しない措置をとります。
パターン④ ワンマン社長が倒れた
ワンマン社長が病気になった,あるいは不幸があったなどの理由で,廃業せざるを得なくなるというケースです。このような会社をたたむ場合,まずは便宜的に会社の代表者を選任する必要があります。ただし,その会社を必要としている人がいるのであれば,ワンマン社長が倒れたからといって,ただちに会社を閉鎖する必要まではないかもしれません。
パターン⑤ 店舗の買手がいる
破産やむなしとしても,その会社の店がほしいと言ってくる人もいます。店を買い取ってくれる人がいると,この店を解体工事して明け渡すよりも,経済的な場合があります。そのような場合は,速やかに店舗の買手と譲渡契約書を取り交わし,その代金を回収します。この代金が破産申立ての費用にあてられます。
パターン⑥ 破産申立ての費用が残っていない
破産するべき時期に破産をしないで営業を続け,会社に何の資産もなくなってから破産の相談をされる方もいます。この場合,何処かから何等かの形で破産申立て費用を捻出するようお願いせざるを得なくなります。
パターン⑦ 会社が完全に機能していない
数年前に会社経営ができなくなり,そのまま法人格だけ残っているようなケースです。場合により,破産手続よりも簡易な形で処理できることがあります。もっとも,営業しない会社をそのまま放置することはリスクもありますので,やめた方が良いでしょう。
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