会社を破産させるか清算させるか

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_4034-rotated.jpg会社をそろそろ閉業したい。
寂しいことですが,会社経営は負担がかかるもの,どこかで閉業の処理をしなければなりません。経営している会社を誰かが引き取ってくれるのであれば良いですが,引き取り手の見つからない会社は,自分で閉業の処理をしなければなりません。
閉業するときに,会社が債務超過であれば破産を申立て,そうでなければ清算手続をとることになります。自己破産というのは,いかにも他人に迷惑をかけている印象があります。そこで,自己破産を避けて清算手続を選択される方も多いかと思います。もっとも,債務が残った状態では清算手続を結了することはできませんから,それでも清算手続にしたいという場合は,どこかから資金調達をしてきて債務をすべて完済させる必要があります。残った債務が,例えば役員からの貸付だったという場合は,その役員に債権放棄をしてもらえば良いようにも思います。ただし,そのやりようによっては税金の問題が発生しますので,税理士に相談しておくのが無難です。
清算手続をするにあたっては,株主総会で清算決議がされて清算人選任登記を入れなければいけないので,司法書士に相談するのが必須となりましょう。また,税金が残った状態で清算結了はできませんので,税理士への相談も必須となります。場合によっては,弁護士を通じて,関係者と利害調整をする必要も出るかもしれません。こうした専門家への依頼費用は,少なく見積もっても合計して20万円から30万円ぐらいはかかるのではないでしょうか。さらに債務完済のための資金も必要でしょうから,清算手続には相応の費用がかかるものといえそうです。
これに対して破産手続きは,弁護士にさえ依頼できれば,他に専門家を雇う必要はありません。ただし会社を破産させる場合の弁護士費用は,少なく見積もっても30万円ぐらいが相場でしょうか。これとは別に,破産手続の費用(実費)として最低でも20万円程度の引継予納金が必要となります。こういうわけで,会社の債権者がほとんど関係者で債権放棄を得られやすいという場合は,清算手続の方が安価に解決できる可能性があります。ただし,破産手続では裁判所(破産管財人)の監督が入りますので,清算手続とは異なり手違いが生じるリスクが低いです。清算手続の場合は,ひとつ処理を間違えば債権者が清算人に損害賠償請求をするリスクがありますが,破産手続のやり方を間違ったことを理由に会社の経営者が損害賠償請求を受けることはほとんど無いです。
会社を破産させるか清算するか,その問題は,以上に挙げたもののほか,様々な要素を検討して考えていくことになります。多摩オリエンタル法律事務所では,債務整理の相談は無料です。会社清算の相談も,会社の債務をどうするかという問題が含まれますので,債務整理の相談と位置付け,相談料を無料としています。会社を破産させるか清算するか迷われた時は,ぜひ,多摩オリエンタル法律事務所にご相談ください。

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多摩センター駅徒歩3分。夜間・休日も対応いたします。債務整理のご相談は無料です。多摩市、稲城市の方からのご相談が多い事務所です。債務整理・離婚・相続・後見等の個人事件や、売掛金回収・倒産等の法人事件の実績多数あります。

寄与分が認められるケースと認められないケース

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_3892-rotated.jpg相続問題の処理をお手伝いさせていただいていると,「あの相続人は長年にわたり親の介護をしていたから寄与分があるなどと主張しているが,あれぐらいの介護で寄与分だなんて言ってほしくない」との意見を言われることがあります。
寄与分とは,亡くなられた方(被相続人)の生前に,その遺産形成に寄与した方がいる場合に,これによって遺産形成された部分について特別に相続分を認めましょうという制度です。
遺産形成に対する寄与のあり方には様々な形態があり,被相続人を長年にわたって介護していたなどというのはその典型例と思われがちですので,今回はその解説をしたいと思います。
まず,被相続人にお金を贈与したというような場合は,寄与分として認められる場合が高いと思います。これに対して,介護のような金銭のやり取りが無い場合はどうでしょうか。寄与分は,遺産の「維持または増加」について特別な寄与があったときに認められるものですから,単に被相続人を介護していたというだけでは,「特別な寄与」があったということはできなさそうです。一般的には,その相続人が被相続人を介護していたことにより,ヘルパーを雇うのを免れた,施設に入所しないで済んだという程度のものが必要と言われています。こうした相続人の介護により,ヘルパーの費用や施設料を免れたといえることが必要ということですね。
介護と寄与分の問題は,単純化すればこのような形となりますが,そのための具体的な主張内容や集めるべき証拠は,ケースバイケースです。介護と寄与分の問題が生じた場合は,ぜひ,多摩オリエンタル法律事務所にご相談ください。
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7年の別居期間は必要か

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_3836-4-rotated.jpg離婚相談を受けていると「別居してまだ間がないから離婚はできないのではないか」と聞かれることが多々あります。離婚に必要な別居期間については先例が積みあがっているところ,多くの方は「7年」以上の別居がなければ離婚ができないと考えているようです。けれども,これまで多く離婚事件を取り扱って来た自分の肌感覚からすれば「1年」程度の別居期間で離婚ができるのではないかと思っています。これは,どういうことなのでしょうか?
実は,「7年」以上の別居がなければ離婚ができないという裁判例は,法律用語でいうところの「有責配偶者」が離婚を求めたケースを取り扱っているのです。したがって,これらの裁判例の読み方は,「7年以上の別居期間がなければ離婚できない」ではなく,「有責配偶者からの離婚請求は許されない」けれども,「7年以上の別居期間があれば有責配偶者でも離婚できる」とみるべきなのです。つまり,「有責配偶者」でなければ,7年に満たない別居期間でも離婚できるということなのです。一般に,その夫婦を離婚させるべきかどうかは,「夫婦関係が破綻しているかどうか」で判断されます。夫婦別居が始まれば,そこで夫婦関係が破綻したとみられ,別居状態が1年も続けば破綻した夫婦関係が修復されることもないだろう,そういう判断で離婚が認められるということになるのです。
ここで,その人が「有責配偶者」であるという認定は,簡単にはしてくれません。配偶者に対する暴力で逮捕されたとか,不倫して一方的に家を出て行ったとか,極端な事例でないと「有責配偶者」とは認められず,「よく分からないけれども相手が別居した」という程度では認定されない,つまり「7年」の別居期間を要せずに離婚請求ができるということになるのです。
もちろん,実際に離婚をするのに「7年」の別居期間を要するかどうかはケースバイケースです。なかなか認定のハードルが高い「有責配偶者」の要件も,これが認められてしまうという場合も少なくありません。そこで,自分の場合が離婚を求めることができるケースなのか,不安となった方におかれましては,ぜひ多摩オリエンタル法律事務所の法律相談をご利用ください。

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任意整理の難しさ

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_3811-002-rotated.jpg借金の整理の仕方は,①債権者と借金の返済方法について話し合う任意整理の方法と,②裁判所に借金の処理をしてもらう法的整理の方法の2種類に分類できます。法的整理の典型例は自己破産ですが,「破産」という言葉が持つ印象から,「破産」よりも任意整理を希望される相談者は少なくないです。
けれども,金融機関は,借金の処理について,あまり話合いに応じていただけない傾向があります。消費者金融,いわゆるサラ金の場合は,その傾向がとくに強いです。すこし以前であれば,どこの金融機関も,残元本のみ,たまに利息や遅延損害金まで請求してくる業者もありましたが,大抵の金融機関は60回,事情があればそれ以上の分割払いに応じていただけたものでした。ところが最近は,60回の分割払いに応じない金融機関が増えて来ました。48回程度(4年)の返済でないと示談に応じないと言っている金融機関もあれば,最近では「24回払いでないと応じない」と言い出す金融機関が現れました。年々,任意整理の交渉が難しくなってきている印象があります。
どうしてこうなってしまうかと言えば,「話合いは,求めた方が不利になる」ということがあるからです。多くは,話合いを求められた側には,話合いに応じなければならない状況がありません。したがって,それでも話合いを求める側は,相手方の言い値に応じなければならない状況になるのです。債務者がこれに対抗するには,債権者が話合いに応じざるを得ない状況を作ることです。端的に言えば「話合いに応じなければ破産する」と言うことです。けれども,このように言ってやると,金融機関は「それでは破産してください」と言ってくることが多いです。
このような金融機関の運用は,なんとももどかしいです。金融機関の側が,もう少し柔軟に対応してくれれば,債務者は破産を免れる,金融機関も最低限の債権回収が実現できるとなって,経済的には合理的な結果がもたらされます。けれども,こうも金融機関の対応が強硬では,債務者としては返せるものも返せなくなってしまい,債権者ともども共倒れになってしまいます。債権者(金融機関)の側は,資金力に余裕があるでしょうから,債務者一人破産してもどうということは無いでしょう。けれども,破産する人数が増えていけば,どうでしょうか。物価高騰,政情不安,今後の日本の景気がどうなっていくか不透明です。こういう時代だからこそ,法的措置ではなく,話合いで解決していく柔軟さを考えてもらいたいものです。

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配偶者短期居住権について

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_3638-rotated.jpg平成30年の民法改正で,夫婦の一方が死亡した場合に,死亡した配偶者(被相続人)名義の建物で無償で居住していた他方の配偶者は,一定期間,その建物に居住し続けることができることが明文化されました(配偶者短期居住権。施行は令和2年から)。
「それは前からその通りだったのではないか?」とツッコミが来そうです。けれども,それまでは,「共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と右同居の相続人との間において、被相続人が死亡し相続が開始した後も、遺産分割により右建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き右同居の相続人にこれを無償で使用させる旨の合意があったものと推認されるのであって、被相続人が死亡した場合は、この時から少なくとも遺産分割終了までの間は、被相続人の地位を承継した他の相続人等が貸主となり、右同居の相続人を借主とする右建物の使用貸借契約関係が存続することになる」(最高裁平成8年12月17日判決)などとされていました。この判例によりますと,被相続人名義の建物に居住し続けることができるのは,同居していた「共同相続人の一人」,無償で使用できる期間は「遺産分割終了までの間」ということになりそうです。
これに対して改正民法では,被相続人の配偶者については遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6ヵ月を経過する日のいずれか遅い日まで無償使用ができそうです。
相続争いが発生すると,それまで建物に居住していた相続人は,いつ建物から追い出されるのではないかと不安に思われるところがあろうかと思います。けれども,このように法律や判例が,当面の間の無償居住を認めているところでもありますので,必要以上の心配をする必要はありません。
遺産として建物があり,相続人がここで被相続人と同居していたという場合,このコラムでは書ききれない様々なケースがあるでしょう。そこでこのような場合は,一度,相続案件の取扱いが多い多摩オリエンタル法律事務所までご相談ください。

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そこは話合いではなく裁判をした方が良いかもしれません

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_3651-rotated.jpg裁判をするときは,誰もが緊張するものです。訴訟をすれば必ず勝訴するという事件でも,裁判をすれば誰かが傷つくと思うと,なかなかその決断ができないものです。それでは弁護士を立てて示談交渉を始めれば解決できるかといえば,そのような保障はまったくありません。弁護士が示談交渉を始めるときは,相手方が示談に応じなかった場合の次の手順を考えているものです。相手方に示談交渉に応じない場合の不利益を教えてやって,それぐらいならば話合いをした方が利益であると思わせて,相手方を話合いのテーブルに呼び出すのです。ここで,依頼人から,裁判は避けてやってほしいと言われると,相手方に示談交渉に応じない場合の不利益,すなわち依頼人が裁判を辞さない意向であると伝えることができません。したがって,依頼人が裁判を避けるようでは,できる話合いもできなくなってしまうという事態に陥りやすいです。そこで,少なくとも,次のような場合は裁判をすることを躊躇するべきではないと思います。

一つ目は,弁護士が手紙を送っても,相手方がまったく返事をよこさない場合です。これは,相手方が話合いに応じる意思が無いということですから,裁判を起こして相手方を裁判所に呼び出さない限り,話を先に進めることができません。
 二つ目は,相手方がまったく譲歩しようとせず,依頼人も相手方の提案を受け入れることができないという場合です。相手方がまったく譲歩しようとしないのは,弁護士の説明では相手方が譲歩しなければならない理由が分からない,あるいは理解しようとしないということを意味します。したがって,このような場合は,裁判所という第三者を通じて相手方に物事を説明する必要があります。
 三つ目は,当事者が多数に及んでいて,それぞれが好き勝手なことを言って,その調整が難しいという場合です。いかに弁護士といえども,複数の人と一度に話合いをするというのは困難です。それぞれと連絡をとって,それぞれから意見を聞いて,それぞれ順番に提案していくのです。ここで,当事者が多数いると,全員順番に話を聞いているうちに,最初に話を聞いた一人の意見が変わってしまうということがあります。そこで,当事者が多数に及んでいるときは,あらかじめ調停などの話合いの場があることを説明し,その申立てをすることを伝えた方が,話が,早く,かつ,円満に進むことがあります。
このほかにも,話合いよりも裁判をした方が良い場合はいくつか考えられると思います。経験ある弁護ならば,それが話合いで解決するべき事案なのか,あるいは訴訟や調停をするべき事案なのか,その選別ができるものです。もしも裁判をするべきかどうか迷われたときは,遠慮せずに弁護士に相談した方が良いと思います。

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世の中は本当に人手不足か?

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_0953.jpg報道によれば「人手不足」などを背景に初任給の引き上げが相次いでいるのだそうです。債務整理の相談などで「給料が低い」,「仕事が決まらない」などと言われると,果たして「人手不足」というのは本当なのか,疑いたくなります。
そこで独立行政法人労働政策研究・研修機構が調査している有効求人倍率(労働者1人あたりの求人数)をみると,どうも昨年(2024年)は,だいたい「1.25」前後で推移しているようです。求人倍率は,「1」を超えれば「売り手市場(労働者有利)」,「1」を下回れば「買い手市場(雇い主側が有利)」になるとも言われています。このような基準で考えれば,確かに世の中は「人手不足」と評価できるかもしれません。
けれども私は,このような求人倍率の読み方には落とし穴があると考えます。なぜか。有効求人倍率は,あくまで統計上の割り算に過ぎません。現在,数で言えば求人の方が多いかもしれません。けれども,その中に自分に合う仕事がどれくらいあるか,希望の仕事がどれくらいあるかと考えてみれば,果たして「1.25」という求人倍率は「売り手市場(労働者有利)」と言えるでしょうか。私は,むしろ,これでは労働者は仕事を選べる状況にないと思います。失業率はそれほど高い水準にないようですが,それは,労働者が仕事を選ばず,とにかく雇ってくれたところに就業しているからではないかと見ます。
その証拠に,例えば銀行の窓口は,以前に比べて,明らかに人が減っています。これは,世の中の「人手不足」の結果ではなく,会社側が経営を合理化し,人を減らした結果ではないでしょうか。つまり,「人手不足」とは,会社側が人を雇わない結果であって,それは決して「求人の応募が少ない」ということを意味していないのではないかと思うのです。
そのような状況を「人手不足」の一言で片づけている報道の姿勢に疑問を持ったので,今回,投稿させていただきました。多摩オリエンタル法律事務所では,労働問題も取り扱っております。 お気軽にご相談ください。

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相続でもめるポイント

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_3414-1-rotated.jpg多摩オリエンタル法律事務所では,相続に関する事件を多数取り扱ってきました。そこで,遺産分割がなかなか進まないケースの類型が見えてきたので,ご説明します。
1 遺産に不動産があるとき
誰かが遺産である不動産を取得しようとして,その不動産の評価額や分割方法を巡って争いが紛糾することが多いです。相続人一致して不動産を売却できれば,その代金を法定相続分で分割するという形で話合いがまとまることがあります。また,できるだけ説得的な不動産の査定書を取得し,不動産の取得を希望する相続人が適切な代償金を支払うことを約束すれば,話合いがまとまりましょう。いずれもできないときは,競売もやむなしとの覚悟を持って手続を進めなければ,話合いが先に進まない傾向があります。
2 特別受益・寄与分の主張があるとき
相続人が生前贈与を受けている(特別受益),あるいは相続人が生前に被相続人の支援をした(寄与分)などの主張があると,それではこれをどのように金銭的に評価して,遺産分割に反映させるかで,議論が紛糾することがあります。遺産を使い込んでいる相続人がいるというのも,この類型に含めて良いでしょう。こちらは,特別受益や寄与分の額を明らかにする証拠をどれだけ揃えられるかにかかっています。
3 不公平な遺言書がある
不公平な遺言書が作成されたときは,遺留分減殺請求をすることになります。遺留分というのは,遺言をもってしても侵害することができない相続人の権利です。このとき,遺産が不動産のみだったりすると,受遺者において遺留分を金銭で支払うことができず,遺産分割が紛糾することがあります。
4 親族に面倒臭い人がいる
この場合は,遺産分割がもめそうに見えます。けれども,このような場合は,「法定相続分どおり」とすれば,案外,手早く遺産分割がまとまる傾向があります。ただし,上記1~3のような事情が介在すると,通常以上にもめることもあります。
5 相続でもめないために・法定相続分に沿った遺言書を作成しておくこと
不動産があったり,特別受益や寄与分がありそうなとき,公平な遺言書を残しておけば,相続人同士が争うリスクがかなり軽減します。そうでなくても,遺言書一通あるだけで,銀行預金その他の名義書換手続が各段に楽になります。したがって,遺産がまったく無い,相続人が一人だけというような,極端に単純なケースでもない限り,家族のためを思うのであれば,遺言書は残しておいた方が良いと思います。多摩オリエンタル法律事務所では,遺言書の作成支援も行っております。ご相談は,お気軽にどうぞ。

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社長が死んだらどうなるか?

 

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_3157-002-1-rotated.jpgおもに社長一人で切り盛りしている小規模な会社を想定します。そのような会社の社長が,突然死んだら,いったい,どのような事が起こるでしょうか。
 まず,仕掛中の仕事です。その仕事の段取りを知っているのは,社長ただ一人です。その社長が死んでしまうと,その仕事がどこまで進んでいるか誰も分からないということになります。ここで,うまく仕事を引き継いでくれる人が見つかれば良いのですが,そうでなければ依頼主は,その注文をすべてキャンセルして,別の業者にやり直しを依頼することになります。
 その受注した仕事ですが,前金は受け取っていないでしょうか。これを受け取っていたら,仕事を引き継いでくれた人が見つかればその人に引渡し,そうでなければ依頼主に前金を返金するというのが原則となりましょう。さて,ここで問題は,一人で切り盛りしていた社長が死んでいるということです。果たして,この前金の引継なり返還なり,誰がすることになるのでしょうか。社長が死んでいるので,これを処理できる人がいないのです。
 このほか,事務所家賃やリース料の支払,あるいは税務申告など,一人で切り盛りしていた社長が死んでしまうと,こういう当たり前にやらなければならない事をやる人がいなくなってしまうのです。社長が最後にこれらを誰かに引き継げれば良いのですが,突然の事故などがあったりすれば,その時間もありません。その結果,会社は支払うべき債務をまったく支払えなくなってしまい,すべての債権者に迷惑をかける結果となってしまいます。
 一人で切り盛りしていた社長が死んでしまうと,多かれ少なかれ,会社は混乱します。場合により,その混乱は,社長の家族にまで波及します。そこで,その混乱を最小限にするために,自分が死んだらどうなるか,その最低限のシミュレーションぐらいはしておき,必要なことを書き遺しておくぐらいのことはしておいた方が良いでしょう。それは,遺言のような仰々しいものである必要はありません。メモ書き程度で結構ですので,残された関係者が,どこに何があるか分かる程度の書置きは残しておいてもらいたいものです。
 とはいえ,自分が死んだときのシミュレーションなど,なかなか簡単には想像できないことでしょう。ご不安でしたら,多摩オリエンタル法律事務所に,ぜひご相談ください。

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共有不動産の処理について

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_3228-002-rotated.jpg実家が親族と共有になっていて,売るに売れない。そのような問題は抱えていませんか? 今回は,共有不動産を処分する方法について考えてみます。自分は,その不動産の共有持分権者であるとします。

まず,不動産業者に相談して,その共有持分を第三者に買い取ってもらうという方法があります。しかし,この方法は,あまりお勧めできないようです。そもそも,共有持分だけ買い取るという者はほとんど無く,仮に買受希望者が現れたとしても,かなり安い値段で買いたたかれる可能性が高いです。例えば,自分は全体の1000万円で売れる不動産の5分の1の共有持分権者であるとします。これを第三者に買い取ってもらう場合,1000万円の5分の1の200万円という値段がつくことは稀でしょう。

そこで,その不動産の,他の共有持分権者に,自分の共有持分を買い取ってもらうという方法が考えられます。その共有持分権者も,あなたの共有持分を欲しいと思っているような場合,相場で買い取ってもらえるケースが比較的多いです。上の例で言えば,200万円で買い取ってもらえるケースが多いでしょう。こういう買取を希望する共有持分権者は,その物件に,アカの他人の共有持分権者が入ってくることを嫌う傾向があるので,そのようになるのでしょう。

誰も,その不動産の共有持分を買い取ろうとしないという場合,いっそのこと,その不動産の共有者全員でこれを売却するという方法が考えられます。共有者が数えるほどしかいなければ,共有者全員でこのような話をつけることも可能でしょう。思うに,この方法が,もっとも実入りが多い処分方法でしょう。

ただし,不動産を他に売却するというのは,共有者全員の話がまとまらなければ困難で,共有者の一人でも反対者が出れば,裁判所の関与もなしにこれを売却することはできないでしょう。そのようなときは,共有物分割請求訴訟(場合により,遺産分割調停等)を提起することが考えられます。訴訟の中で,裁判官を交えて,共有不動産の処分について話し合えば,それだけ,共有者全員の話合いがまとまる可能性が高まります。共有者全員の話合いがまとまらない場合は,一概には言えませんが,共有者の一人がその不動産を買い取るか,あるいはこれを競売にかけるかなどの判決が出るでしょう。

このように,共有不動産があって,他の共有者と話合いができないとしても,これを処分できないということはありません。共有不動産の処理のご相談は,ぜひ,多摩オリエンタル法律事務所にご相談ください。

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