相手方のDVに耐えかねて、子どもを連れて別居をしたのは良いものの、子どもがまだ幼く仕事に時間を割くこともできず、生活費に困る状況となりました。そこで、相手方に、婚姻費用または養育費を請求したいところです。このような相談がよくあります。
ところが、この婚姻費用なり養育費、生活に必要な金額全額を請求できるものではないということに注意してください。婚姻費用や養育費は、こちらと相手方の収入の額「のみ」で、ほぼ形式的に決定されます。こちらの生活費にこれだけ必要という事情や、相手方にも生活があることなどは、ほとんど考慮されないのです。
例えば、自ら不倫をした相手方から婚姻費用を請求されたというように、明らかに請求する側に非がある場合はどうでしょうか。自ら不倫をするなどの大きな帰責事由がある者からの婚姻費用請求は、信義則上、許されないものとされています。ですから、その限りで、婚姻費用請求の排除や減額を主張することは可能です。けれども、養育費は子供の生活費としての性格があり、婚姻費用の額はこの子供の生活費分をふまえて決定されているところもございます。したがって、不倫をした相手方からの婚姻費用請求といっても、この不倫をした相手方が子供を養育している限り、この子供の生活費に相当する部分は排除できません。こういう結論は、子供を不当に連れ去られた側は「踏んだり蹴ったり」ではあるので、制度運用の限界線上の問題ともいえるので、もう少し議論を深めていく必要はありましょう。
婚姻費用や養育費は、これを求める調停を申し立てた月からでしか、裁判所は支払いを命じてくれない傾向にあります。配偶者と別居して、生活費にお困りの際は、お早目に多摩オリエンタル法律事務所にご相談ください。
~多摩オリエンタル法律事務所~
多摩センター駅徒歩3分。夜間・休日も対応いたします。債務整理のご相談は無料です。多摩市、稲城市の方からのご相談が多い事務所です。債務整理・離婚・相続・後見等の個人事件や、売掛金回収・倒産等の法人事件の実績多数あります。


自宅の登記や銀行預金の名義書換等,相続の手続はかなり面倒くさいです。原則として,それぞれの手続ごとにすべての相続人の実印と印鑑登録証明書を取り寄せなければならず,しかも法務局や金融機関ごとに要求される資料や必要とされる遺産分割協議書等の書式(文言)が微妙に異なり,少しでもマニュアル違反があると名義書換に応じてもらえず,遺産分割協議書の作成をやり直しさせられるということも珍しくありません。そこで遺言公正証書が一通でもあれば,必要な資料や手順がかなり簡素化されます。残された家族の相続手続の手間を考えれば,遺言公正証書を作成しておくメリットはかなりあろうかと思います。
「これをやっていいですか?」
会社をそろそろ閉業したい。
相続問題の処理をお手伝いさせていただいていると,「あの相続人は長年にわたり親の介護をしていたから寄与分があるなどと主張しているが,あれぐらいの介護で寄与分だなんて言ってほしくない」との意見を言われることがあります。
離婚相談を受けていると「別居してまだ間がないから離婚はできないのではないか」と聞かれることが多々あります。離婚に必要な別居期間については先例が積みあがっているところ,多くの方は「7年」以上の別居がなければ離婚ができないと考えているようです。けれども,これまで多く離婚事件を取り扱って来た自分の肌感覚からすれば「1年」程度の別居期間で離婚ができるのではないかと思っています。これは,どういうことなのでしょうか?
借金の整理の仕方は,①債権者と借金の返済方法について話し合う任意整理の方法と,②裁判所に借金の処理をしてもらう法的整理の方法の2種類に分類できます。法的整理の典型例は自己破産ですが,「破産」という言葉が持つ印象から,「破産」よりも任意整理を希望される相談者は少なくないです。
平成30年の民法改正で,夫婦の一方が死亡した場合に,死亡した配偶者(被相続人)名義の建物で無償で居住していた他方の配偶者は,一定期間,その建物に居住し続けることができることが明文化されました(配偶者短期居住権。施行は令和2年から)。
裁判をするときは,誰もが緊張するものです。訴訟をすれば必ず勝訴するという事件でも,裁判をすれば誰かが傷つくと思うと,なかなかその決断ができないものです。それでは弁護士を立てて示談交渉を始めれば解決できるかといえば,そのような保障はまったくありません。弁護士が示談交渉を始めるときは,相手方が示談に応じなかった場合の次の手順を考えているものです。相手方に示談交渉に応じない場合の不利益を教えてやって,それぐらいならば話合いをした方が利益であると思わせて,相手方を話合いのテーブルに呼び出すのです。ここで,依頼人から,裁判は避けてやってほしいと言われると,相手方に示談交渉に応じない場合の不利益,すなわち依頼人が裁判を辞さない意向であると伝えることができません。したがって,依頼人が裁判を避けるようでは,できる話合いもできなくなってしまうという事態に陥りやすいです。そこで,少なくとも,次のような場合は裁判をすることを躊躇するべきではないと思います。
報道によれば「人手不足」などを背景に初任給の引き上げが相次いでいるのだそうです。債務整理の相談などで「給料が低い」,「仕事が決まらない」などと言われると,果たして「人手不足」というのは本当なのか,疑いたくなります。