どのようなときに成年後見制度を利用するべきか

平成12年にあたらしい成年後見制度がはじまって15年になります。司法統計によると、平成25年度中の後見開始の審判の申立件数は、2万8040件。成年後見制度が始まった年の前年度(平成11年4月から平成12年3月まで)、その申立件数(当時は禁治産宣告の申し立てと呼んでおりました。)が2963件だったそうですから、この15年でおよそ10倍の増加です。これは、国民に成年後見制度が広く周知される一方、その申立てを支援する法律家が爆発的に増えたことによるものでしょう。

 
成年後見は、病気などの原因で十分な思慮分別がない方に、しっかりとした監督者をつけて、その生活を支援する制度です。今の日本は契約社会ですが、十分な思慮分別がない方は、悪い人から詐欺のような契約をさせられてしまうおそれがあります。そこで、そのような方の契約は、後見人と呼ばれる監督者が代わって行うことにして、財産をだまし取られることを防ぐのです。もっとも、後見人が選任された場合、それが親族でもない限り、代わりに契約などをしてくれる後見人に報酬を支払わなければなりません。したがって、だまし取られるような財産がほとんどないという方は、成年後見人を選任する必要がないばかりか、かえって報酬の払い損になってしまうということになりかねません。それでは、この成年後見制度は、どのような場合に利用するべきでしょうか。

ケース1 親の介護をめぐって兄弟間で争いがある場合
 このような場合は、後見人を選任するべき典型例です。親の介護には、何かと費用がかかる一方で、介護する側は、事実上、親の財産を自由にできます。そこで、他方の兄弟が、親の財産が適切に管理されているか、疑いの目を向けることになり、そのことが将来の相続争いに発展したりします。このような無用な紛争を避けるためには、成年後見人を選任し、親の財産管理を第三者にゆだねるべきです。

ケース2 親が悪徳商法の被害に遭った
 親の介護をしているといっても、常に親のやることなすことの面倒ができるわけではありません。時には、子の目を盗んで、怪しげなツボなどの不要な高価品を買ってしまうかもしれません。知らないうちに、自宅の床下から、役に立つかどうかも分からない白アリ駆除装置が発見されるかもしれません。成年後見人が選任されると、契約はすべて後見人が行うことになるので、このような悪徳商法をすべて無効にできます。

ケース3 遺産分割協議をまとめる必要がある
 例えば父親が死亡して、母親が認知症というケースでは、子供だけで遺産分割協議をまとめることはできません。遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければいけないからです。母親が、自分で協議書にサインできないこともあるでしょう。また、子供同士で相続争いが発生しようものなら、遺産分割調停も申し立てられなくなります。遺産分割協議など、介護している親のサインが必要になるケースでは、成年後見人の選任が必須となります。

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