遺言か生前贈与か

自分の財産を,いつ,誰に,どのように引き継がせるか。自分の相続を考えるとき,私は大きく分けて,2通りの方法があると考えています。ひとつは,遺言であり,もうひとつは,生前贈与です。今回は,この2つの方法のメリットとデメリットを考えてみましょう。

まず遺言について考えてみましょう。相続というと,真っ先に心配するのが相続税の問題です。生前贈与ですと,やり方を間違えると多大な贈与税をとられてしまうことになるので,そのリスクが低い遺言は有利なやり方といえます。しかし,遺言は,全文自筆で書くか(パソコンでプリントアウトすることは不可),公証役場に行って公正証書にするか,といった作成方法が複雑です。また,遺言の内容によっては,かえって相続争いを誘発してしまうこともあります。そのときにはあなたは死亡しているので,身内の争いを仲裁することもできません。

これに対し生前贈与は,極端な話,口約束だけでもできますし,そのやり方をめぐって親族争いが起きたとしても,あなたの口から「これは自分が決めたことだから。」と,反対する人に説明することができます。贈与税の問題も,きちんと段階を踏んで手続すれば,相続税と同じ水準に近づけることもできます。しかし,生前贈与の場合は,一度これをしてしまうと,撤回が難しいという問題点があります。例えば,先祖伝来の不動産を長男に生前贈与したが,後に気が変わったという場合,この生前贈与をなかったことにすることは難しいです。これが遺言であれば,何度でも撤回することができます。

それでは,遺言と生前贈与と,財産の承継にはどちらが便利でしょうか。答えは一概には言えませんので,迷われたら,弁護士に相談することをお勧めします。ただひとつだけ言えることは,自分の相続は,遺言にせよ,生前贈与にせよ,関係者とよく話し合って決めるのが理想でしょう。家族とよく話し合って,関係者にあなたのやり方を理解してもらえれば,相続争いが生じるリスクが格段に低くなります。

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