会社経営者が破産を決断するとき

 

多摩オリエンタル法律事務所は,これまで,本当に多くの事業者破産の相談を受けてきました。こうした法律事務所のコラムを読んでいる方の中には,破産しようか悩まれている会社経営者もいると思います。そこで今回は,会社経営者が破産を決断するべきとはどのような場合か,解説したいと思います。

① 事業を面白いと思えなくなったときは廃業の決断を!

 会社経営は本当に大変です。その大変さを補ってあまりあるほど面白いと思える事業でなければ,うまくいく筈がありません。ですから,会社を破産させようかどうか悩まれている経営者は,一度,自分がその事業を面白いと思っているかどうか,冷静に見つめなおしてください。ここで面白いと思えるものがなければ,事業再生は困難ですので,破産した方が良いと思います。

② 地銀・信用金庫が融資を断ってきたとき

 事業に面白いと思えるものがあれば,事業再生の可能性はいくらでもあります。もっとも,それで地銀・信用金庫が融資を断るというのは,第三者がその事業計画を合理的でないと思っているということです。融資を断られたときは,なぜ断られたのか,冷静に考えてみましょう。その理由が,債務の多さにあるとするならば,いったん会社を整理して,ゼロからやり直した方が良いかもしれません。会社は,あなたの夢を実現する手段でしかなく,作り直すこともできます。よほどのアイディアが出ない限り,無理してその会社にこだわる必要はないと思います。

③ 知人や取引先に借金を申し込んだとき

 この段階になると,その事業継続が他人に迷惑をかけている域に入り込んでいます。知人や取引先からの借金を確実に返済できる万全の計画があるのであればともかく,そうでないならば経営が破綻していると言わざるを得ないのです。できるだけ早く破産を検討するべきでしょう。また,知人や取引先に借金を申し込むときは,それがどのような意味をもつのか,事前に弁護士に相談しておくべきです。

④ 事務所家賃や税金の滞納が始まったとき

 これらの費用は,事業を継続していく上で,絶対に代替ができないものですから,これすら支払えないというのは事業として末期症状です。即刻,弁護士に破産の相談をするべきです。

 いかがでしたでしょうか。とにかく大切なのは,①経営者が事業にやりがいを感じているかどうかです。私がこれまで相談を受けていたところ,②の段階の相談では,経営者が熱意を失っているケースが多く(そうすると破産をすすめざるを得ません),③知人や取引先に借金を申し込んでいる段階では,破産を避けたいという相談者は多くても,その中で熱意ある経営者は皆無でした。他人に迷惑をかけたくない,だから破産したくないというのは分かります。しかし,熱意なき経営を継続していると,さらに多くの人に迷惑をかけてしまいます。その事業を面白いと思えるものがなければ,事業に向けた熱意など生まれるはずもありません。あなたは今まで十分に頑張りました。にもかかわらず今,事業に向けた情熱が生まれないのであれば,それは誰が悪いという話ではなく,仕方がないことです。厳しい言い方をすれば,無理をせず,廃業をされた方が良いと思います。

~多摩オリエンタル法律事務所~

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