多摩の歴史について

法律家の仕事は,証拠から真相を究明することです。歴史家も,歴史書(供述証拠)や遺物(物証)から真相を究明しようとする点で,法律家の仕事と共通するところがあります。そのためでしょうか,私は,歴史学に興味を持っていて,ときどき多摩の歴史を考察したりしています。

多摩市の史跡では,なんといっても稲荷塚古墳(多摩市百草)に注目していただきたいです。これは,全国でも例が少ない八角形の古墳です(ただし諸説あり)。八角墳は,大化の改新(645年)直後の一時期に,皇族の古墳に採用された形式なのですが,稲荷塚古墳は7世紀前半の築造時期とされています。つまり,近畿で天皇陵に採用される前から,多摩では八角墳という形式を採用していたのです。大化の改新(乙巳の変)で,朝廷は蘇我氏支配を脱却することになるのですが,その後の朝廷が採用した古墳の形式と多摩で用いていた古墳の形式が同じということは・・・そう考えると,ロマンをかき立てられませんか?
次に私が注目しているのは,小野神社(多摩市一ノ宮一丁目)です。ここは,祭神が特殊です。新編武蔵国風土記稿によると,もともとは「武蔵国造」を祀っていたというのですが,祭神は天下春命とされています。このため風土記稿は,祭神を誤っていると批判しているのですが,私はこのような誤伝こそ興味をそそられます。先代旧事本紀によると,天下春命というのは,八意思兼命の子とされています。同じく先代旧事本紀国造本紀によれば,知々夫国造というのが,八意思兼命の十世孫であり,同じく天神本紀によれば,天下春命は武蔵秩父国造の祖とされています。これらの伝承からすれば,どうも小野神社は秩父方面の有力者が創建したとも想像できそうです。
このほか,縄文遺跡や関戸合戦,新選組など多摩市は歴史ネタの宝庫と言ってよいでしょうが,語り出せばキリがないです。法律相談でなくても,このような話で良ければいつでも対応いたしますので,ご相談ください(笑)

~多摩オリエンタル法律事務所~

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