保釈と口裏合わせ


某自動車メーカーの前会長が保釈されたというニュースが報道されています。その保釈条件は,住居入り口の監視カメラの設置,メールやインターネットの利用禁止など,厳しいものとされています。多摩オリエンタル法律事務所でも,刑事事件を受任すれば,保釈請求をすることは稀ではありません。しかし,今回のような保釈条件は,聞いたことがありません。証拠隠滅や口裏合わせの防止が目的とされていますが,果たして,そこまでしなければならないものでしょうか。

まず,報道されている事件の中身はよく分かりませんが,凶器やDNAなどの重要な物証が必要な裁判にはならなさそうです。そして,帳簿やパソコンデータなどの関連資料は,すでに差押えがなされているでしょう。したがって,物的証拠の隠滅は,あまり心配しなくても良さそうです。
次に,口裏合わせはどうでしょうか。おそらく,関係者の取り調べは,すでに終わっているでしょうから,今さら口裏合わせをしたところで,裁判に何か不都合なことが起きるでしょうか。
それにもかかわらず,証拠隠滅や口裏合わせを心配して,住居入り口に監視カメラを設置するというのは,人権侵害であるように感じます。
10年以上弁護士業をしてきた者の印象では,最近,本当に,保釈が認められやすくなったです。一昔前の保釈の運用に比べれば,今回の保釈条件も,保釈が認められただけ“進歩”ということでしょうか。

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