とあるコンビニエンスストアで,店内で調理した商品につき,一部を,消費期限の表示を改ざんして販売していたというニュースが入りました。報道によると,この店舗では,消費期限を7時間延長した改ざんをしていたとのことです。このニュースを聞いて,皆さまは,どのように感じたでしょうか。
法律論からすれば,これは実体を偽った表示をしたということであり,相当性を欠く販売方法です。一種の詐欺というべきであり,民事,刑事上の責任を問われれば,相応の処分がされるおそれのある行為です。
それでは,実質論ではどうでしょうか。私がテレビニュースを見た限りでは,専門家が,この7時間の間に雑菌が繁殖するおそれがあるとのことで,これだけ聞くと,極めて不適切な行為だったということになります。
しかし一方で,少し消費期限を過ぎただけで廃棄処分をしてしまうというのは,もったいなくないですか?時代や地域が異なれば,調理して少し時間が経った食べ物を捨ててしまおうものなら,必ず誰かが叱責することでしょう。消費期限を少しでも過ぎると食べることができなくなってしまう日本人,これほど貧弱になってしまったのは,いつ頃からでしょうか。
もし食べ物を捨ててしまうのがもったいないと思って消費期限を改ざんしたのであれば,それが許されるかどうかは別として,その気持ちには共感できるものがあります。消費期限切れの商品は,そのことをきちんと表示して,場合によっては値引きして販売すればよかったのです。それで消費者が食中毒になれば,それは自己責任です。
これは弁護士の文章なので,法律論に戻します。法律に違反した者を非難することは簡単です。しかし,すき好んで法律に違反しようとする者は極めて少数で,そこには何かの事情があるはずです。その事情に目を向けない法律論は,無責任だと思います。多摩オリエンタル法律事務所では,形式的な法律論だけではなく,その背後の実質論にも目を向けて,弁護活動を展開したいと考えております。
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