孫子の兵法を解釈してみた

兵法孫子を愛読している弁護士は多く,私もそのうちの一人です。そこで「日本の弁護士が孫子の兵法を勝手に解釈してみた」をまとめてみました。ご関心がある方は,以下のリンクより読んでみてください。
      

もしも孫子が日本の弁護士だったら


さて,この「もしも孫子が日本の弁護士~」ですが,自分で解釈してみて,①まさにその通り,と思うものは全体の7割程度でしょうか。あとは②裁判実務上正しいとは言えないもの,③その通りに行動したら裁判上有利だけれども弁護士倫理上の問題があるもの(自分ではその通りにしないもの)がありそうです。その一部を,以下にご紹介いたします。 いずれ,機会を見つけて,これらの整理をしてみたいと思いますので,感想などございましたらお気軽にお伝えください。
① まさにその通りと思えるもの
「争訟は,人生の大事である。」(計篇1)
「優秀な弁護士は,相手方が不正をしようとしているときは,その不正を実行に移させる前に解決する。」(謀攻篇2)
「優秀な弁護士は,裁判の「勢」で勝とうとし,個別の事実や証拠だけで勝とうとはしない。」(勢篇6)
「およそ先に裁判官の心証を得て,これを不当と主張する相手方の対応を待つ弁護士は楽だが,すでに裁判官が心証を得た事実に対し,これが不当と主張して,その撤回を求める弁護士は大変である。」(虚実篇1)
「裁判のときは,相手方が主張しないことをあてにするのではなく,相手方が主張してきても反論できる準備をしておく。」(九変篇5)

② 裁判実務上正しいとは言えないもの

「裁判官の心証を得ることが難しいのは,難しい主張を簡単な主張のように見せかけ,有害なことを利益であるかのように見せかけることである。」(軍争篇1・このような駆引きをしていては,いつまでも裁判官の心証を得られないのでは?)
「訴えを提起して和解の提案をしないのは,立証に自信があるのである。~」(行軍篇6・このような一般論は言えません。)
「「囲」ならば,和解の提案がされることもあるが,依頼人のプライドを守るために,自分は和解を断ろうとする。」(九地篇7・進退窮まった状況であれば,むしろ和解で解決するべきでは?)

③ 弁護士倫理上問題があるもの
「争訟ともなれば人道にもとることでもしなければならない。」(計篇3・人道にもとることはやりません。)
「裁判の道理としてこちらに十分の勝ち目があるときは,依頼人が争ってはいけないといっても,無理に押し切って裁判に出るのがよろしく,裁判の道理として勝てないときは,依頼人が訴えを提起せよといっても,訴えを提起しないのがよろしい。」(地形篇3・弁護士である以上,依頼人の指示は絶対です。依頼人の指示に従えない場合は,自分の意思で事件を処理するのではなく,辞任します。)
「相手方の関係者が接触してきたら,必ず礼儀正しく接して,当方の味方に引き入れる。」(用間篇・相手方から内通を申し出てきた場合であればともかく,弁護士から内通を唆すようなことはいたしません。)

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