日本の司法は，決して公平ではないと思う。長年弁護士をやってきて，つくづくそう思います。問題の所在を一言でいうと，裁判所が良識で判断していないということです。裁判所が重視するのは，明文の法令と先例だけで，これと少しでも事案が異なると，決して事実や権利を認めてくれません。もっともこれは，日本に限ったことではなく，どこの法治国家にもある共通の問題のようですが。
この問題を大きく論じるつもりはありませんが，要するに，日本の司法は問題だらけです。この点を認めたとしても，どうしても納得できない事件が起こりました。それは，例の巨大自動車メーカーの元役員の国外逃亡劇です。
報道によれば，日本の司法に問題があるので，自分を守るために逃亡したということです。日本の司法に重大な問題があるとすれば，この言葉は，必要悪ないし正当防衛的に聞こえます。
しかし，この国外逃亡事件の裏には，多くの共犯者がいたはずです。いかに日本の司法に問題があると言っても，第三者を犯罪に巻き込んでよいはずがありません。可哀そうに，海外では，この件に関与した者から，逮捕者が何人か出始めているようです。日本でも，逮捕者が出るかもしれません。
不当な裁判の被害者になりたくない，そのためにあらゆる手段を講じたくなる気持ちは分からないではないです。しかし，その方法を間違うと，不当な裁判に対して批判をしても，誰も共感してくれなくなります。もしもそこに問題があるならば，逃げも隠れもしないで堂々とこれを論じたい，私はそういう法曹になりたいです。
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