国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)の発効について

多摩オリエンタル法律事務所は,中小企業法務を専門としていますが,離婚事件の取扱いも多いです。この4月から,わが国で国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)が発効するというので,今月は,簡単にその解説をしたいと思います。


ハーグ条約は,原則として子を元の居住国へ返還することを義務付けています。わが国では,すでに「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」(以下,「ハーグ条約実施法」と呼びます。)が定められ,ハーグ条約の実施に必要な国内手続等が定められています。
 
ハーグ条約実施法によれば,外務大臣に対して,子の返還を実現するためのあっせん等の支援をしてもらったり,東京家庭裁判所または大阪家庭裁判所に子を返還するための申立てをすることができます。家庭裁判所で,子の返還決定がだされると,子を元の居住国に返還しなければなりません。

子を元の居住国に返還するとは,どういうことを意味するのでしょうか。それは,最終的に子の返還を求めるためには,相手国で裁判を行わなければならなくなってしまうということです。日本国内に居る親としては,これは相当な負担となります。
 
しかしながら,これを逆に見れば,子が海外に連れ去られた事案については,ハーグ条約を利用して簡易に子の返還を実現できるという利点もあります。すなわち,大抵の離婚手続きを国内で処理できるようになります。
そうすると,今後は,親権を勝ち取るために子を海外に連れ去ることは,有効な手段ではなくなりそうです。DVなどの危険な状況がない限りは,その国内で離婚手続きを進めた方が良さそうです。

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