事業再生・経営者の保証債務は整理できるか?

借入れが多くて資金繰りが悪く,何とか手を打ちたいが,会社の債務を連帯保証していて,自宅も担保にとられていて,事業再生に着手するとどうなることやら…そんな不安をお持ちの方はいないでしょうか。


昨年12月,日本商工会議所と全国銀行協が設置していた研究会が,「経営者保証に関するガイドライン」を策定しました。これは,経営者の個人保証について,
①必ずしも経営者の個人保証を求めない。
②多額の個人保証を行っていても,早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等を残すことや,自宅に住み続けられることなどを検討すること。
③保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること。
―などを定め,経営者による思い切った事業展開や,早期事業再生等を応援するものです。限られたスペースの中で,そのすべてを解説することはできませんが,債務整理の場面にしぼってガイドラインの中身を簡単に説明します。

Ⅰ 結果的に私的整理に至った事実のみをもって,一律かつ形式的に経営者の交代を求められません。私的整理手続申立て時の経営者が引き続に経営に携わることについて一定の経済的合理性が認められる場合は,これが許容されることがあります。

Ⅱ 私的整理では,必ずしも経営者の資産のすべてが処分されるわけではありません。一定の財産開示をした上で,経営者の資力や経営危機に陥った原因などを勘案し,いくらかの財産を残せる可能性があります。ガイドラインでは,勘案するべき事情として「破産手続における自由財産…の考え方や,民事執行法に定める標準的な世帯の必要生計費の考え方との整合性」を挙げます。破産の場合,99万円までの現金が手元に残されることがありますが,ガイドラインでは,さらに一定期間の生計費も手元に残されることを示唆しています。

Ⅲ また,一定の財産開示をした上で,破産するよりも多額の弁済をしているような場合などでは,「保証人からの保証債務の一部履行後に残存する保証債務の免除要請について誠実対応する。」とされています。例えば会社が2億円の借入れをしていて,その連帯保証をしている場合でも,必ずしもその全額を肩代わりしなくても良いということです。
 このほか,経営者保証に関するガイドラインは,保証契約の締結のあり方や,事業承継時の対応についても規定しています。その適用場面については,細かな準則が設けられておりますので,関心のある方は,多摩オリエンタル法律事務所の法律相談をご利用ください。

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