判決を取りに行くのは他に手段がない場合ー孫子の考え方から

凡用兵之法,全国爲上,破国次之。
最古の兵法書といわれる孫子を引用してみました。およそ最高の兵法とは,国と戦わずに勝つのが上策で,国と戦って勝つことはこれに劣る,という意味です。弁護士が事件処理をしているとき,常に考えさせられる言葉です。
 
孫子の言葉をもじれば,相手方に金銭請求をするときは,債務者に自発的に払ってもらうのが良く,請求書を送付して初めて払ってもらうのはこれに劣ります。交渉しないで払ってもらうのが良く,交渉して初めて払ってもらうのはこれに劣ります。紛争となっても,示談交渉でまとめるのが良く,裁判所に訴え出るのはこれに劣ります。裁判所に訴え出る場合でも,和解でまとめるのが良く,判決を得るのはこれに劣ります。
 
私が思うに,100回訴訟して100回勝訴する弁護士は,有能な弁護士とはいえません。有能な弁護士は,訴訟・強制執行の不経済を知っているので,訴訟に持ち込まずに債権回収を図ろうとするはずです。
 
それでは,訴訟に持ち込まずに債権回収を図るにはどうしたら良いでしょうか。一概には言えませんが,孫子にはこうあります。先んじて敵が大切にしているものを奪えと。誰にでも,何か一つぐらい,守りたいものがあるはずです。その守りたいものを指摘することができたら(私がよく使う手として,相手方のメインバンクを仮差押えするというのがあります。),債務者は誰よりも先に,あなたへの支払いを優先するでしょう。これが,戦わずして勝つということです。
 
もっとも,その守りたいものを知ることが,一番難しいところなのですが。

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