遺産分割協議がまとまらないときはどうするか?

自分の遺産をめぐって親族同士で争ってほしいと願っていた故人はいないでしょう。
ですから,遺産分割は,できるだけ話合いで解決してもらいたいものです。
それでも,不幸にして遺産分割がまとまらないと,どうすれば良いでしょうか。

① 調停を利用することが多い
 遺産分割協議がまとまらない理由は様々です。
故人から多額の生前贈与を受けていたり,逆に故人のために莫大な援助をしてきた相続人がいる場合は,単純に法定相続分に従った処理というわけにはいかなさそうです。
故人が長年にわたって闘病生活をしていた一方で,故人の財産を使い込んでいた(疑いのある)相続人もいるかもしれません。
遺言の効力をめぐって争われることもあります。

 相続人同士が何を争っているかにもよりますが,当事者同士で話合いをまとめることができないときは,家庭裁判所に調停を申し立てることが多いでしょう。
調停では,調停委員という第三者を介し,法律と情理の両面から,柔軟な解決が図られていくことになります。

② いきなり審判を申し立てない
 調停を申し立てず,いきなり家庭裁判所に遺産分割の審判を求める方法もあります。
しかし,いきなり審判というのは,特別の事情がない限り,あまりお勧めしません。
審判では,原則として法定相続分に従って遺産分割し,不動産などは共有にするという杓子定規的な判断しかなされないからです。
故人に対する思いは,特別受益(生前贈与分)ないし寄与分(故人に対する援助分)の判断に必要な範囲でしか斟酌されず,さらに証拠がなければ無視されます。
生命保険金の扱いや,遺言の効力など,審判では取り扱えない問題もあります。
 なお,いきなり審判を申立てた場合,「付調停」という形で調停に移行するケースが多いようです。

③ 遺言の効力は訴訟で争われる
 「その遺言は偽造されたものである。」などと言ってくる相続人もいるかもしれません。
この場合,話合いで解決できなければ,訴訟を提起することになります。
訴訟と審判は,公開の法廷で行われるか否かなどの違いはありますが,いずれも裁判官が一方的に裁断する裁判であることに違いはありません。
したがって,その判断も杓子定規的となり,形式的に証拠をそろえられるかどうかで判断内容が決まっていくことになります。
 
訴訟でも,和解期日という形で,話合いが行われるケースが多いです。
私の印象では,訴訟における話合いの進み方は,裁判官の個性によります。
事件の性質にもよるのでしょうが,和解による解決を熱心に進めてくる裁判官もいれば,当事者の意向をまったく聞かずに判決をしようとする裁判官もいます。
ですから,話合いによる解決を望むならば,まずは調停を申立てていくのが無難ということになるでしょう。

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