話合いは求めた側が不利になるということ

多摩オリエンタル法律事務所では,事件をできるだけ円満に解決しようと心がけております。しかし,示談交渉の依頼を受けるときは,慎重に検討します。なぜならば,相手方に示談交渉を持ち掛けると,必ずしも依頼人が希望する回答が得られるとは限らないからです。

 示談交渉では,法律にしばられず,自由に交渉できるということがあります。自由に交渉できるというのは,依頼人にとってもそうですが,相手方にとっても同様です。ですから,法的には依頼人に有利でも,示談交渉の場面では,相手方から譲歩を求められることになります。これに対して弁護士が示談交渉にこだわれば,相手方の目からは「裁判に持ち込む意思がないのだ。」と疑われてしまいます。相手方が,「この件は裁判にならないのだ。」と安心すれば,相手方の主張はますます強気になります。そこでこちらが示談交渉を維持しようとすれば,こちら側が譲歩せざるを得なくなります。
 そこで,相手方に話合いを求めようとするときは,相手方が望まぬ回答をしたときはこれを裁判に持ち込む覚悟が必要ということになります。ただし,このような覚悟をもって示談交渉に臨んだ場合,相手方の気持ちはますます硬直化しますので,示談交渉はうまくいかない,ということになります。
 物事は,話合いで解決できるのであれば,そのように解決した方が良いに決まっています。それにもかかわらず,どうしてこのような結論になってしまうのでしょうか。思うにそれは,判決では法律がすべてであり,事前の話合いの経過がまったく影響しない,ということがあるためでしょう。それどころか,話合いで出てきた内容が,後に裁判の証拠となってしまうというリスクすらあります。つまり,裁判実務では,「話合いを求めた側(または応じた側が)がバカを見る。」ということになってしまうのです。これは,まったく悲しむべきことです。我々は,そろそろ,法律一辺倒の考え方を正さなければならないのではないでしょうか。

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