法律相談を受けていると,「彼は相手方のために仕事をしているようだった。」と前任の弁護士の批判を聞かされることがあります。しかし,弁護士は,依頼人に多少のクセがあっても,なんとかその依頼人に利益を得させようと努力するものです。その弁護士も,優秀な法曹だったかどうかは別として,彼なりに依頼人のために全力を尽くして活動したはずです。それを全く評価されていないというのは,悲しいことです。
例えば,そこに,本当に性格が悪い従業員がいるとします。上司に対しては常に反抗的で,気に入らない仕事はお願いしても手をつけようとしません。会社経営上,彼を解雇できれば,相当の経営改善が図れますし,社長も彼を解雇することを望んでいます。私は,このような相談を何度も受けてきていて,彼を解雇したいという社長の気持ちは痛いほど分かります。しかし,多くの弁護士はきっとこう言うでしょう。「彼を解雇するのは待ってください。」と。おそらく,会社内の誰もが,彼を解雇するべきだと考えています。しかし,法はそれを許しません。ですから,弁護士は,「彼を解雇してはいけません。」とアドバイスするのです。
人によっては,このアドバイスを,「どうして相手方の側に立って考えるのか?弁護士は,依頼人のために活動するのではないのか?」とくってかかるかもしれません。しかし,弁護士は,法律に精通し,法律の定めるところに従って活動することが求められているのです。いかに依頼人の希望とはいえ,できることとできないことがあります。これをご理解いただけないと,弁護士としては「それでは依頼を受けられません。」としか回答できなくなってしまいます。弁護士に相談し,希望通りの回答が得られなくても,違う解決策があるかもしれません。そこで,どうしても弁護士が依頼を受けてくれないという方は,「こうして欲しい。」という希望を前面に出すのではなく,「こういうこと(例えば解雇)はできますか?」,「できないとすれば,どうすればよいですか?」という聞き方をするようにしてみてはいかがでしょうか。
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