遺言は書くべきか?

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遺言を書こうか迷われている方も多いかと思います。相続は,遺言書がないときは,遺産分割協議をしなければほとんどの手続きができないのが原則です。また,本人確認が厳重になっている今日では,銀行預金の払い戻しや相続登記の手続きをするにはそれぞれ実印と印鑑登録証明書の取寄せが必要となり,遺された相続人の手間が大きくなります。しかし,遺言書があると,こうした手続きの際に取寄せるべき資料が格段に少なくなります。

ですから,相続人が多数いるような場合は,遺言書を残しておいた方が良いと思います。

縁遠い相続人がいて,円滑な遺産分割協議ができないおそれがあるときも,遺言書を残しておいた方が良いでしょう。

相続人に未成年者や病弱な方がいるような場合も,円滑な遺産分割協議ができなくなるおそれがあります。状況によっては特別代理人選任の申立てが必要となり,想定外の費用が発生するおそれがあるので,遺言書を残しておいた方が良いでしょう。

このほかにも,遺言書を残しておいた方が良いケースもありますが,これらは別の機会で説明したいと思います。

さて,そこで書くべき遺言書の内容ですが,そこはあまり深く考えず,「遺産はこれをすべて換価し,これより債務の支払や遺言執行費用を控除した残金を法定相続分によって分割する」とでも書いておけば良いでしょう。

遺言書に書くべき内容として注意するべきは,遺言執行者の選任をしておくことです。遺言執行者を選任しておくと,銀行預金の払い戻しや登記手続き等が,遺言執行者一人の権限でできるようになり,手続が相当楽になります。

それでは,遺言執行者は,誰にすればよいでしょうか。家族の1人を指定するケースが多いですが,遺産分割の手続処理を相続人の1人に負担させてしまうと,そのことで相続人間に不平不満が生じるかもしれません。ですから,遺言執行者については弁護士はじめとする専門家に依頼しておくこともご検討ください。

最後に,遺言書の内容については,事前に,弁護士などの専門家にご相談いただくことをおすすめします。多摩オリエンタル法律事務所では,遺言に関する相談も受け付けておりますので,お気軽にお問合せください。

~多摩オリエンタル法律事務所~

多摩センター駅徒歩3分。夜間・休日も対応いたします。債務整理のご相談は無料です。多摩市、稲城市の方からのご相談が多い事務所です。債務整理・離婚・相続・後見等の個人事件や、売掛金回収・倒産等の法人事件の実績多数あります。

弁護士に示談交渉を依頼する場合は?

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_0438-2-rotated.jpg問題は解決したいけれども裁判は起こしたくない――このようなご相談をよく受けます。多摩オリエンタル法律事務所では,示談交渉の依頼は一律着手金11万円(税込)でお受けしていますので,お気軽にご相談ください。とくに,次のような場合は,弁護士を介入させる意味があるとみます。

 ① 証拠上圧倒的に有利なところで相手方を説得する場合

法的措置に出た場合の相手方の不利益を通知して,相手方に示談交渉に応じるよう説得します。こちらが弁護士を選任すれば,相手方も弁護士を選任することも多いですが,こちらの立場が証拠上圧倒的に有利であれば,相手方が選任した弁護士が,相手方に示談交渉に応じるよう説得します。ここで注意しておきたいのは,話合いで問題を解決しようとする以上,こちらも一定の譲歩をする準備をしておくことです。こちらが何の譲歩もしないという立場で入っていくと,相手方にその気があっても話合いにならないことがあります。

② 話合いが決裂しても良いという覚悟がある場合

裁判となるのは相手方も避けたいものです。ですから,こちらが話合いが決裂すれば裁判に持ち込むことを示して交渉に臨むと,相手方からの譲歩を引き出せることがあります。もっとも,強硬な態度で話合いに臨むと,相手方も話合いを打ち切ってくる可能性があります。ですから,依頼人において裁判沙汰にすることに消極的な場合は,多摩オリエンタル法律事務所ではこのような交渉方法はいたしません。

③ 話合いの方向性が概ね固まっているところで最後の調整をする場合

例えば,夫婦双方で離婚することと親権の所在や財産分与などの離婚条件が概ね決まっているような場合,弁護士がその他の細かな離婚条件を調整して離婚協議書をまとめます。もっとも,相手方がその方向性に不満を持っていたような場合,こちらが弁護士を選任すると,相手方も弁護士を選任して,これまでの話合いの経過をなかったことにしようとするので,本当に話合いの方向性が固まっているといえるか,慎重な見極めが必要です。

④ 相手方が交渉を持ち掛けてきた場合

それで話合いがまとまるというのであれば,弁護士を選任する必要はありません。しかし,相手方と直接交渉するのが億劫であったり,自分は話合いの必要性を感じていなかったりという場合は,交渉の窓口となる弁護士を選任するという方法もあり得ます。これにより,相手方が不当な交渉を取り下げたり,あるいは話合いの内容が公平適正になる場合があります。

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AV出演被害防止・救済法に思う。

AV出演被害防止・救済法が施行されました。自分としては,違和感しかないです。そもそもAV出演契約というのは,公序良俗に反して民法90条により無効であると考えていたからです。ところがこの法律は,AV出演契約の成立要件を規定し,その有効性を公認してしまったのです。

考えてみてほしいです。そもそも性は,個人の尊厳を基礎づける最たるものであり,このようなものが契約の目的になり得るはずがありません。それは「私の生命を100万円で貴方に売ります」というのに準じ,「私は貴方の奴隷になります」というのと同じぐらいバカげた契約でしょう。

すべてのAV出演契約は,公表後1年間は無条件で解除可能といいますが,こういうわけで自分は,無期限で無効主張可能と考えます。したがって,その公表の差し止めも,無期限で可能とみるべきでしょう。

このように主張すると,表現の自由とのバランスが問題となりそうです。しかしながら,AVの主役はどこまでいっても出演者ですから,出演者の表現の自由こそ最大限に保護されるべきです。ですから,表現者である出演者自身がその公表を望まないのであれば,やはりその公表の差止はどこまでも認められるべきです。AV出演の契約を認めることは,むしろ出演者の表現の自由を侵害しているという意味でも不当でしょう。

私は,AVという表現自体を否定するつもりはなく,出演者自身がこれを公表したいと望むならば,これを止める理由もないと思います。しかし,これに関する契約を有効としてしまうと,出演者に一定の表現を強要することになってしまうのです。性というその表現内容の価値に照らせば,いかなる意味でもその契約を有効というべきではないと思います。今回の法律は,AV出演契約を全面的に無効とした上で,その強要や公表の差し止めについて出演者の利益に適うように制定してもらいたかったのですが,そこまで至らなかったのが残念です。

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某町の誤振込み問題について

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某町の新型コロナウィルス関連の給付金を誤振込みした問題で,マスコミの批判は,振込みを受けた町民に集中しているようです。私は,この問題について,もう一人,批判されるべき存在がいると思っています。それは,誤振込みをした町役場の職員ではありません。これを受け付けた金融機関です。

報道によると,誤送金の手続きをした町職員は,すぐにミスに気づき,その日のうちに銀行に連絡をしたといいます。誤送金を受けた町民側は,どうもこれを何かに使ってしまったということらしいですね。しかし,この町民が誤送金があったことに気付くまでに,相当の時間があったはずです。町職員がミスに気付き,銀行に連絡をした時点で,銀行側で何等かの措置ができていれば,このような結末にはならなかったのではないかと思うと,残念で仕方ありません。

こうした誤送金があった場合,多くの銀行は,ただちに送金手続の取消しをするのではなく,誤送金を受けた側の了解をもらって,初めてその取消しをするという手続きをします。それが誤送金であることが明白であるにもかかわらずです。おそらく,この送金手続自体が,高速複雑に処理されていて,一回その手続きをしてしまうと,これを取消すのに相当の手間がかかるためでしょう。

このようなことは,金融取引がネットで処理されない一昔前では,あり得ない話ではないでしょうか。おそらく,窓口で気付いて銀行職員にお願いすれば,その場で誤送金の手続きが止まったことでしょう。送金が高速で処理できるようになったというのは便利です。しかし,こう考えると,便利さを手に入れる代償に,私たちは大切なものを失いはじめているようにも感じるのです。

いろいろな物がめまぐるしい速さで便利になっていく時代ですが,果たしてその便利さは,本当に必要でしょうか。手間やコストはない方が良いと思われていますが,本当にそうでしょうか。今一度,本当に必要なものは何か,立ち止まって考えてみる時期に来ているのかもしれません。

追記

この原稿を書き終わった後で,この件,ご送金分の9割方が回収されたとのニュースが入りました。そうだとすれば,この原稿を撤回するべきかとも考えましたが,ニュースによれば,この回収に協力したのは銀行ではなく決済代行業者であったとのことです。金融機関が柔軟な対応をしたものではない,ということなので,この原稿は維持します。

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遊びの大切さ

弁護士に相談される方の多くは,本当にたくさんのものを背負われています。法律相談に来られる方は,大抵は何等かのトラブルに巻き込まれてしまった方です。ですから,このように思い詰められることは,やむを得ないことと思います。

多摩オリエンタル法律事務所では,このような相談者様でも,少しでもなごんでもらいたく,様々な仕込みを入れております。例えば,事務所の相談スペースに用いているカレンダーは,いわさきちひろです。あの子どもを中心とした優しい絵柄を見ていると,なんとなく優しい気持ちになれませんか?

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会社経営者が破産を決断するとき

 

多摩オリエンタル法律事務所は,これまで,本当に多くの事業者破産の相談を受けてきました。こうした法律事務所のコラムを読んでいる方の中には,破産しようか悩まれている会社経営者もいると思います。そこで今回は,会社経営者が破産を決断するべきとはどのような場合か,解説したいと思います。

① 事業を面白いと思えなくなったときは廃業の決断を!

 会社経営は本当に大変です。その大変さを補ってあまりあるほど面白いと思える事業でなければ,うまくいく筈がありません。ですから,会社を破産させようかどうか悩まれている経営者は,一度,自分がその事業を面白いと思っているかどうか,冷静に見つめなおしてください。ここで面白いと思えるものがなければ,事業再生は困難ですので,破産した方が良いと思います。

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ウクライナ情勢と弁護士ができることについて

ロシアのウクライナ侵攻に関し,世間の非難が噴出しております。恥ずかしながら,私は,なぜロシアがウクライナに侵攻したのか,その事情はよく分かりません。何か,言い分があるのかもしれません。しかし,その「言い分」がどうであるにせよ,それが殺人を正当化する理由になるとは思えません。これは「戦争」と呼ぶべきではなく,「犯罪」と言うべきだと思います。一人の権力者による,大量殺人事件でしょう。と,このように非難をしてみても,物事が好転するとは思えません。そこで弁護士である私は,自分に何ができるか,考えてみました。

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多摩オリエンタル法律事務所は開所10周年となります。

多摩オリエンタル法律事務所は,2012年2月に開所しました。そこで,弊所は,今月で,開所10周年となります。これまで事務所で受け付けてきた法律相談件数は1000件を超え,相当数の事件処理をしてまいりました。とくに多く取り扱ってきたのが,債務整理,離婚,相続の3分野でした。これらの分野についてお困りであれば,お気軽にお問合せくださいませ。
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被相続人の借金が多いけれども財産は引き継ぎたい場合の方法


家族が亡くなって,その人が多額の借金を抱えていたというのは,よくあることです。

このような場合,多くのケースでは相続を放棄すれば解決します。

相続放棄は,その家族が亡くなったことを知って3ヶ月以内にしなければいけないと言われることがありますが,それは不正確です。
正確には,借金があることを知ってから3ヶ月以内に相続放棄をすれば解決します。
もっとも,その場合の相続放棄にはちょっとした報告書が必要になりますので,弁護士に相談するのが無難です。
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破産件数が減っている?

コロナ禍で資金繰りが苦しくなる市民が増えて、債務整理の依頼が増えていくのではないかとの予測がありました。しかし、多摩オリエンタル法律事務所では、直近1年間の実績で、それほど債務整理の件数が増えている印象がありません。細かなデータを取得できているわけではありませんが、東京地方裁判所立川支部における破産事件の事件番号でみても、数字が伸びていない印象です。政府等のコロナ対策で、さまざまな給付金や補助金が支給され、他方で金融機関からの取り立てが緩やかとなり、相当数の債務者が救済されたということでしょうか。
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